カシオ、CFO出身の新社長が激白「元気なカシオを取り戻す」、CFOとして進めた構造改革にメド、社長直轄のR&Dで開発スピードを加速
「G-SHOCK」と「CASIO WATCH」の2軸で展開
――構造改革にメドをつけましたが、この先の注力領域は?
前社長の増田(裕一氏)とともに、不採算事業の整理に取り組んできた。システム事業におけるPA(ハンディーターミナル)やSA(電子レジスター)の終息(段階的に縮小)、HR(人事)事業の譲渡など、不採算領域に一定のメドをつけた。
楽器事業でもラインナップの半減や不採算エリアからの撤退を進め、人員体制も大幅に見直した。電子辞書もハードの新規開発を中止するなど、採算性を向上させるための改革は一通り打ち出し、相応の成果が出ている。
事業の選択と集中においては、過去の業績と今後の成長性を照らし合わせ、「資本コストを上回る利益を安定的に計上できるか」という一点を見極めてきた。収益を支える時計と教育を「コア事業」とし、そこにAIペットロボット「Moflin(モフリン)」のような新規事業を積み上げていく。
――主力の時計事業は「G-SHOCK一本足」とみられがちです。今後はどう広げていきますか。
「G-SHOCK」に加え、よりモダンな「CASIO WATCH」の2軸で成長させる戦略だ。これまではG-SHOCKがメインだったが、現在は全世界的にCASIO WATCHが好調である。
「強くて狂わない」というコア価値に加え、優れたコストパフォーマンスとデザイン性が評価され、特に女性ユーザー層が拡大している。この両ブランドはユーザー層がかぶらず、非常に良い相互補完的な関係にある。
――消費者の好みも多様化していて、性別を問わないユニセックスなものへと移り変わっています。
かつてカシオの腕時計を身に着ける女性は少なかったが、もはや「男性用・女性用」という区分に大きな意味はなくなっている。
先日中国を訪れた際、女性がゴールドやシルバーの大ぶりなメタル製G-SHOCKを自然に着けこなしている姿を目の当たりにした。ユーザーは性別という枠組みではなく、自身の個性に合わせた時計を選ぶようになっている。こうした多様化する感性に合致した製品を提供し続けることが必要だ。
――最近は機械式時計のトレンドも根強いですが、関心はありますか。
機械式は重要な領域だと捉えており、当然ながら今後の戦略も練っている。25年7月、「EDIFICE(エディフィス)」ブランドから当社初の機械式ムーブメントを搭載した腕時計を発売したが、非常に好調だった。今後の展開にもぜひ期待してほしい。



















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