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物言う投資家に狙われたペンタブレット大手、ワコム社長がインタビューで明かした「3年後に最高益」達成への道のり

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いで・のぶたか/1970年生まれ。1995年に国際基督教大学大学院行政学研究科博士前期課程修了後、シャープに入社。アメリカ駐在を経て2013年にワコム入社。OEM製品供給事業を中心にキャリアを重ね、17年当社取締役。18年4月から現職(撮影:今井康一)
ペンタブレットの大手メーカー、ワコムが株式市場からの厳しいプレッシャーにさらされている。2025年の株主総会ではイギリスの投資ファンドAVIから株主提案を突きつけられた。原因の1つが業績の低迷だ。コロナ禍の巣ごもり需要を追い風に2020年度に営業利益134億円を叩き出したが、外出制限の緩和に伴いペンタブ需要も減少。営業利益は22年度に20億円まで急落。23年度70億円、24年度102億円と改善しつつあるもののピークの水準には届いていない。
ワコムは24年度には人員削減を含むリストラを実施。あわせて新製品の積極的な投入により、課題だったブランド製品事業(自社ブランド製品)の収益性改善を進め、25年度の営業利益見通しは115億円としている。井出信孝社長に再成長に向けた方策や、株主との対話の状況について聞いた。

ブランド製品事業の黒字化に手応え

――25年4~9月期のブランド製品事業は上期として4年ぶりに黒字化しました。

手応えは十分にある。今上期の決算内容は基本的に私たちが想定していたとおりだ。昨年度に実施した大規模なコスト削減と、それと並行して進めていた製品ポートフォリオのリニューアルがそれぞれ計画どおり進んだ。

2025年7月に発売した新型の液晶ペンタブレット「MovinkPad」(撮影:今井康一)

新しく発売した「MovinkPad」も、市場からのフィードバックは非常にポジティブ。ブランド製品事業の品ぞろえを拡充できたことで、収益性を高められるという確信が増したという点で手応えを感じている。ミドルクラスの液晶ペンタブレット「Cintiq」の新モデルなども市場から高く評価されており、そこもしっかりと底支えしている。

――ブランド製品事業は今上期に約9億円の利益を上げていますが、通期の会社計画では3億円としています。下期は赤字になるのですか。

現在のトレンド、トップラインが回復しコストが最適化されて黒字化しているという状況が急激に変化することは想定していない。頻繁に通期予想を見直すのも望ましくないし、次の成長に向けた投資やオペレーションコストのタイミングもある。10月〜12月の商戦期を経て、売り上げの確実性や投資の使い道の解像度が上がった段階で、適切に(計画を)アップデートする予定だ。

テクノロジーソリューション(TS)事業(稼ぎ頭の他社ブランド製品事業)においても、OEM提供先のブランド、例えば(サムスンのスマートフォン)「Galaxy」やEペーパー製品なども地域によってはマイルドな状況だが、壊滅的なドロップがあるわけではない。

――TS事業の上期利益は75億円で、前上期(93億円)から減益となっています。

TS事業もインラインで、想定外のトラブルや顧客側の急な方針変更があったわけではない。ただ、数字が踊り場にあるのは事実だ。(ワコムが電子ペンを供給する)Galaxyの機能の変化や、フォルダブル(折りたたみ)端末の薄型化に特化した方向性などが影響している。

これまで好調だったEペーパー製品も、中国の教育市場などの影響を受けて踊り場といえる。これらは(中国政府の学習塾規制による)市場のダイナミクスの影響を受けているが、基本的には想定内だ。

(サムスンやレノボなど)顧客とは非常に良い関係を維持できており、戦略的なパートナーシップを堅持している。中長期のロードマップを共有し、どのモデルに搭載するかというレベルだけでなく、技術開発のレイヤーで一緒に仕事をしている。先日の「Connected Ink」(ワコムの展示会)にも来てもらい、力強いメッセージをいただいたところだ。

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