「輸送業務を担う当社グループの経営の根幹に関わる事態として重く受け止め、改めて深くお詫びを申し上げます」。JR東日本の喜勢陽一社長は2月に開いた記者会見で、深々と頭を下げた。
JR東日本は3月14日に民営化後初となる鉄道運賃の本格的な値上げを行う。その理由は、ホームドア整備や事故防止対策をはじめとする「安全の確保と向上」などに必要な資金の安定的捻出だ。
しかし現状は、鉄道会社にとって最大の使命である「安全・安定輸送」の足元が揺らいでいる。
JR東日本では、今年に入り大規模な輸送トラブルが相次いだ。1月16日には山手線・京浜東北線で停電による運転見合わせが発生。1月30日には常磐快速線、さらに2月8日から9日にかけては宇都宮線でも同様に停電事故が起きた。
いずれも朝の通勤ラッシュ時間帯を直撃し、山手線・京浜東北線の事故だけでも67万人の利用客に影響を及ぼす事態となった。首都圏の動脈がこれほど短期間に、かつ同じ「停電」で寸断されるのは異例だ。
修繕費削減がインフラ劣化を招いた?
山手線・京浜東北線の停電は、田町駅の改良工事で作業終了後に送電を開始する際に起きた。停電作業時に送電設備が無電圧であることを確認したり、誤って送電した際に感電事故を防いだりしてくれる「検電接地装置」の取り扱いを誤ってしまった。
常磐線の停電は、上野駅に停車している列車の上部の架線が断線したことで起きた。原因についてはまだ調査中だ。
宇都宮線の停電の原因は、お粗末なヒューマンエラーと言われても仕方がない。
摩耗した架線を至近距離検査時に確認し張り替えを計画したが、誤ってほかの架線を張り替える計画にしてしまい、摩耗した架線が残ってしまった。加えて、検測車を使って摩耗状況を判断するモニタリング検査において、摩耗していた架線を要注意箇所として担当者や管理者が抽出できず、断線にまで至ってしまった。
メディアやSNSでは、「コロナ禍での修繕費削減がインフラ劣化を招いたのではないか」という批判が強まっている。実際、JR東日本は、コロナ禍に見舞われた2020年度からの3年間で、設備の維持管理に関わる修繕費を約800億円抑制してきた。






















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