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〈インタビュー〉山内弘隆・一橋大名誉教授「鉄道運賃も価値に見合った柔軟な制度への移行を」

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山内弘隆氏
山内弘隆氏は交通インフラとしての鉄道について「これまでの延長線上ではない議論が必要だ」と強調する(写真:尾形文繁)

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2024年8月からの約1年間、学識経験者や鉄道大手などが共同で開いた「鉄道運賃制度等のあり方に関する勉強会」。主催を務めた、交通経済学を専門とする山内弘隆氏(一橋大学名誉教授)は、日本が「経済の変曲点」にあることを上限運賃をめぐる議論の前提にする必要があると指摘する。
1987年の国鉄民営化から約40年。デフレ脱却や人口減少が明確となり、インフラ維持の限界も露呈する中、聖域とされてきた“古典的な価格決定メカニズム”である「総括原価方式」はどう変わるべきなのか。山内氏に聞いた。

――山内さんが主宰を務めた「鉄道運賃制度等のあり方に関する勉強会」が昨年9月に報告書をまとめ、物価変動を柔軟に反映できる運賃制度の検討を提言しました。勉強会を立ち上げた理由は何だったのでしょうか。

最大の理由は、既存の国(国土交通省)の中での議論から一歩踏み出し、事業者や外部の専門家と、より「自由で活発な議論」を行う場が必要だと考えたことだ。従来の議論は、鉄道事業法という枠組みの中でのみ行われてきた。しかし、今の鉄道を取り巻く環境は、法制度の細部を突き詰めるだけでは解決できない段階に来ている。

振り返れば、1987年のJR発足から40年弱。日本経済はバブル崩壊後の「失われた30年」を経て、デフレが常態化していた。鉄道運賃もその間、実質的な改定は行われてこなかった。だが今、日本は明らかに「経済の変曲点」に立っている。

インフレの兆候、金利の上昇、そして深刻な人口減少。こうした長期的なトレンドが将来にどう影響するのか。特に「サステナビリティー(持続可能性)」という言葉で強調しているが、鉄道が日本の交通インフラとしての役割を果たし続けるためには、これまでの延長線上ではない議論が必要だと確信している。

だからこそ、国交省だけでなく、エネルギーのような他の公益事業の関係者、金融の専門家、さらには消費者団体の意見も交え、民間主導の勉強会として「耳の痛い意見」も含めて情報を集約した。

将来の投資などをどう反映させるか

――日本の鉄道運賃の根幹には、事業の運営に必要な「原価(コスト)」に一定の「報酬(利益)」を上乗せして上限運賃を定める「総括原価方式」があります。これまで果たしてきた役割をどう評価していますか。

まず大前提として、鉄道は独占性が高く、生活に不可欠なインフラであるため、何らかの公的介入や規制を受けるのは妥当だ。総括原価方式は、その有力な手法の一つとして機能してきた。

誤解してはならないのは一口に総括原価方式といっても、事業の性質によってその中身は大きく異なるということだ。

NHKの受信料も電気料金も総括原価をベースにしているが、計算の仕組みや性格は別物だ。鉄道には鉄道のやり方があり、これまでは「公共性」と「事業性」のバランスを保つ装置として一定の評価はできる。

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