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〈インタビュー〉小島好己弁護士「標準的な移動は公共性を担保、特別なサービスは相応の対価という使い分けが現実解」

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小島好己弁護士
小島好己弁護士は鉄道会社の経営環境に理解を示しつつも、運賃については公共性の高さから一定の規制は不可欠と話す(撮影:今井康一)

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鉄道運賃制度の根幹を成す「総括原価方式」をめぐって、見直しへの機運が高まっている。しかし、移動の自由を支える公共インフラとして、価格設定の安易な柔軟化は利用者の不利益を招きかねない。
鉄道事業法や運輸規定に詳しく、利用者・事業者双方の法的バランスを注視してきた小島好己弁護士(あさぎり法律事務所)は、現在の鉄道会社の立ち位置を「私企業としての営利性と、公的なインフラ維持の要請とで激しく揺れ動いているフェーズ」と分析する。

――総括原価方式が日本の鉄道において果たしてきた本質的な役割については、どう見ていますか。

鉄道は国民の生活基盤であるという「公共性」を宿していながら、私企業が運営するものであっても独占性が極めて高い。

総括原価方式は、事業者が自由に利益を追求することをあえて「させない」という、いわば独占に対する防波堤の役割を果たしてきた。コストを積み上げ、そこに「適正な利潤」を加えた範囲でしか運賃を設定できないようにすることで、利用者の負担を一定以下に抑え込んできた。

しかし、大手私鉄やJR本州3社のような体力のある企業と地方の中小私鉄との間で、「適正な利潤」の評価に決定的な乖離が生じている。地方では慢性的な赤字が続き、利潤どころか原価の回収すらままならない会社もある。もはや一律の計算式で「公共性と利潤のバランス」を語れる時代ではなくなっているのが実情だろう。

「3年目線でのコスト計算」に懸念

――国の運賃制度における分岐点は、いつだったのでしょうか。

1999年の鉄道事業法改正だ。それ以前は、具体的な運賃額そのものを国が認可する制度だったが、当時の規制緩和の流れの中で「上限運賃制」へと移行した。

国が認可するのはあくまで「上限」であり、その範囲内であれば、事業者が届け出のみで柔軟に運賃を設定できるようになった(注:97年に総括原価方式での上限運賃の認可制が導入。99年に同制度が法で定められた)。

特急料金などでは認可制から届け出制へと移行して弾力化が進んだ一方で、新幹線(自由席)については今なお特殊な位置づけとして、認可制による厳格な運用が残っている。こうした「段階的な規制緩和」が、運賃と特別料金の間だけでなく特別料金の中でも扱いに差が生じるという今の複雑な制度景観を作り出している。

――現在、インフレなどによるコストの増大が課題となっています。総括原価方式は現行制度のままでは限界があるのでは?

私が懸念しているのは、総括原価を計算する「3年間」というスパンの短さだ。

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