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「セブンのことは意識していない」ローソン竹増社長が目指す次世代のコンビニの姿、KDDIとの連携でさらなる進化へ

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竹増貞信/たけます・さだのぶ 1969年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、93年三菱商事入社。広報や社長業務秘書などを経て、2014年ローソン副社長に就任。16年6月より社長(写真:今井康一)
コンビニエンスストア大手のローソンは2025年12月、大阪・池田市と今後のまちづくりに関する包括連携協定を結んだ。住民の高齢化・減少が進む池田市のニュータウンで、KDDIの通信技術を活用した新しいコンビニをつくるという内容だ(新店舗は26年夏に開店予定)。
店を拠点に誰もが幸せに暮らせる「ハッピー・ローソンタウン」構想を掲げ、30年までに全国100カ所でこうした地域の活性化につながる店舗を展開する計画だ。
KDDIとの連携で、今後どのようなコンビニになろうとしているのか。ローソンの竹増貞信社長に直撃した。

 

KDDIのテクノロジーでもっと便利になる

――なぜニュータウンの活性化に関わろうと思ったのですか。

昭和の東京オリンピックや大阪万博をきっかけにニュータウンが全国各地にできて、それから50年から60年の月日が経っている。高齢化が進んで寂しい状況になっているが、このような地域をローソングループで盛り上げることはできないかと昨年末ごろから考えていた。

店舗の巡回の合間に、私自身もニュータウンの中をよく歩いていた。確かに入居率は低下しているが、一方で、広々とした敷地に集合住宅が立って、平置きの駐車場や集会場がある。畑を持って、農業をしている人もいた。

こうした地域で、例えばローソンファームで行っているスマート農業を住民と一緒にやってみたら面白いのではないかとか、集会所をシアターにしてみたらどうだろうかとか、KDDIが持つドローンを使った配送に取り組んでみたらどうかとか、そんなことを考えて、グループの中で話し合い「やってみようか」ということになった。

――KDDIと連携して、今後具体的にどのような店舗づくりを想定していますか?

ドローンや太陽光蓄電池、災害時に役立つ高速衛星通信のスターリンクなど、KDDIは先端テクノロジーを実証する力を持っている。いわば、通信の力によって場所と場所をつなぐプロであり、これからのコンビニの店づくりにおいてはなくてはならないパートナーだ。

例えば、千葉・富津市では南海トラフ地震に備えた「災害支援コンビニ」の1号店を今つくろうとしている。まちを開発するようなことまでは想定していないが、ローソンの機能とKDDIの力を合わせれば、地域の活性化に貢献していくことはできる。

KDDIのテクノロジーをガンガン店舗に取り入れて、さらに飛躍的に便利で頼りになる存在になっていきたい。

――人口減少が進む地域に出店して、経営を成り立たせることはできるのですか。

人口減少が進む地域に出店するといっても、持続可能な店でなければ長続きしない。山あいの村や島嶼(とうしょ)部など、すでにいろいろな地域に出店しているが、それぞれの店でしっかりとビジネスが回るような仕組みをつくってきた。

日常生活をサポートできるような店になったことに加え、それぞれの地域に合わせた商品もそろえることができている。物流網が届かないと思われていた北海道最北端の稚内市にも、冷凍食品を通常の店舗の倍ぐらいそろえるなどして、臨機応変な対応で出店を成功させた。

今、自治体から「スーパーマーケットが持たない(撤退懸念がある)ので、ローソンが出店してくれないか」という声もかなりいただくようになっている。いろいろな相談を受けていて、今後もこうした地域での出店を続けていく。

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