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タイミーの黒衣「法人後払いサービス」会社の正体、柴田社長が急成長の理由を激白「世の中にない事業だったので、まねもできなかった」

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柴田紳/しばた・しん 1975年生まれ。98年に一橋大学社会学部卒業後、日商岩井(現双日)に入社。2001年ITXに転じ、ネットプロテクションズの買収に従事、出向。自ら「NP後払い」事業を立ち上げる。04年に代表取締役に就任し、18年に事業会社およびホールディングスの代表取締役社長(現任)(写真:尾形文繁)
後払いサービスの先駆として知られるネットプロテクションズホールディングス。個人向けに「NP後払い」や「atone(アトネ)」などを展開するが、直近ではそうした個人向けサービスと並び、法人向け後払いサービス「NP掛け払い」が急拡大している。
売上高は254億円(2026年3月期計画)とまだ小粒だが、5年前の21年3月期に比べると40%以上の成長を見せている。
代表的な顧客が、単発・短時間の隙間バイトサービスを手がけ、スポットワーク市場で独走するタイミーだ。タイミーの躍進を支えるネットプロテクションズは何を強みとし、今後どのような成長戦略を描くのか。柴田紳社長に聞いた。

 

少額大量請求が必要な会社にサービスがマッチ

――これまで個人向けの後払いサービスを軸に拡大してきました。直近は法人向けに請求管理・未回収リスク保証などを展開する「NP掛け払い」の決済額が全体の45%を占めるまでに成長しています。背景には何があるのでしょうか?

2019年からサービスを導入しているタイミーが飛躍的に成長し、リクルートも24年10月から販売代理店において全面的に導入してくれた。こうした大型加盟店が増えて、決済額も拡大したことで、業績が上振れしている。

大型加盟店に限らず、請求管理業務に悩む中小企業、個人事業主などにも使ってもらえている。

――もう少し具体的にお願いします。例えばタイミーでは、どのようなニーズで利用されているのでしょうか。

「NP掛け払い」導入の意思決定をするのはBtoB(企業向け)取引の売り手側(サービスを提供する企業側、代金を後から受け取る権利を持つ側)で、売り手にとってより価値のあるサービスだ。

タイミーのように取引先が20万社にも及ぶ会社を例にして考えると、自社ですべての請求管理を続けるのは非常に大変。毎月数万件の請求を出し続けて、間違いのないように入金確認をして、入金がなければ督促をし、未払いリスクも発生する。

さらにタイミー側が働き手の給料を即日で支払う仕組みとなっているため、取引先からの入金がなければ、全額が損失になってしまう。取引先のリスク管理の仕組みを自社で整えるのは難しく、厳格に管理しすぎると加盟店開拓の営業に制限がかかり、売り上げも出しにくくなる。

そこで請求管理を一括して引き受け、未回収リスクをゼロにできるわれわれのサービスが利用されている。

――取引先の未払いリスクが発生する懸念のあるタイミーのサービス設計は、「NP掛け払い」と相性が良いように見えます。サービス開始当初からこのような利用を想定していたのですか。

いや、当初はわからなかった。世の中にない事業だったので、誰かのまねもできず、わからないままやっていた。

11年に「NP掛け払い」をスタートして、19年にタイミーが導入したのは、取引先数が急激に拡大する中で裏側の請求管理などをどうするのかという課題があったからだと思う。

代金を回収できなければ損失が確定してしまう仕組みで、ある程度の規模になると、最初から詐欺狙いで近寄ってくる業者が出てくることも考えられる。こうした問題に対応するうえで、大量の請求業務を一括して引き受け、入金保証までできる「NP掛け払い」のサービスはマッチしていた。

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