前年比で約50億円の原価上昇を見込む
――物価高が進み原材料価格も上昇しています。直近の対策を教えてください。
2025年の抱負は「転換点」だった。ベトナムに工場を新設するなどの設備投資を進めていて、26年の成長に備えるという位置づけだったが、当初想定していたような飛躍は難しそうだ。
今、いちばん困っているのが原材料高。予測をはるかに超えて、25年は前年比で約50億円の原価上昇を見込む。主要原料であるカカオ豆と卵が高騰し、たいへんな逆風となっている。26年の前半ぐらいまでは、耐えて、しのいで、乗り切らなければならない。売り上げを伸ばすことは間違いなくできる。過去の設備投資をフル活用することで、26年後半に成長を目指したい。
とくにカカオ豆は目下、いちばん高い時期に仕入れた分を使用しているので当面は厳しい。例えば、「ルックチョコレート」は200円前後で販売しているが、本当は収益的に見合っていない価格だ。それでも、消費者の値頃感を飛び越えてしまうため、これ以上の価格転嫁はできない。
だからほかのビスケット商品などを一生懸命売って、全体の帳尻を合わせている。足元では、製品の販売構成が変わってきている。消費者の節約志向を受けて、大袋商品がものすごくよく売れているためだ。大袋商品は内容量の調整がしやすく、消費者の買いやすい価格を維持できている。コストアップを何とかのみ込んで、販売価格を維持することにかなり力を入れている。
――確かに製菓事業は好調で、安定して収益を上げています。供給体制は十分ですか。
25年10月は「カントリーマアム」の大袋2商品で、販売が前年同月比で約7割も増えた。こんなことは今までにない。従来であれば、工場が生産対応できないくらいだが、製造ラインなどへの投資を続けてきたことが功を奏した。今まで山田(憲典)会長にハッパをかけられて設備投資してきたかいがあった。
「ホームパイ」も段階的に設備投資してきている。オーブンの入れ替えによる大がかりな能力増強は、26年の秋ごろから動き始める。今の機械設備は納入までの期間が長く、1年以上前から準備しないといけない。売れると思ってから動き始めたら手遅れになってしまう。
だから、準備期間中に営業を頑張る。25年4月に新たに投入した定番商品「ホームパイ(アーモンドクッキー)」も販売を伸ばしている。2種類の「カントリーマアム」と2種類の「ホームパイ」を併せて棚に並べてもらう「ダブルツートップ作戦」を営業現場では推進してきた。特売商談などの得意分野も生かしつつ、小売店の面を取って、今はうまい具合に設備投資に見合った販売増加ができている。新商品がヒットしているのが大きい。




















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