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直近5年で株価7倍!三陽商会社長が激白「アッパーミドルを極める」、今後のアパレル業界の展望とさらなる成長策とは?

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大江伸治/おおえ・しんじ 1947年生まれ。71年京都大学法学部卒業後、三井物産入社。同社本店繊維第三部長、ゴールドウイン取締役専務執行役員などを歴任。2020年3月に三陽商会副社長、同年5月から社長(写真:今井康一)
百貨店を中心に中高価格帯のアパレルブランドを展開する三陽商会。2015年のバーバリーのライセンス契約終了に加えコロナ禍が打撃となり、16年12月期から21年2月期まで最終赤字が続いた。しかし、商品を売り切ることを前提にした在庫管理や、値引きをしないプロパー販売の徹底などを進めたことで業績が改善。25年2月期は当期純利益40億円を計上した。
つれて、株価も回復。20年には500円前後まで落ち込んでいたが、足元では3600円(12月5日時点)を超える水準で推移している。経営再建の現在地や今後のさらなる成長をどうみているのか。経営改革を主導した大江伸治社長を直撃した。

本来の実力を取り戻してきた

――直近の株価上昇が顕著です。

ものすごく高くなったというふうには考えていない。株価が(5年前の)6倍以上になっているが、それでも今日(インタビューは11月21日に実施)の時点でPBRは0.96。まだ1に達していない。

5年前は株価500円前後、PBRは0.2から0.3の水準で異常に低かった。2015年にバーバリーのライセンス権がなくなった後、ずっと赤字続きで、将来の展望も見えないような状況だった。

しかし、在庫の改善やコスト管理などを進めたことで、しかるべき形にすることはできた。良くなったというより、悪かった状況からノーマルに近いところまで戻ってきた状況だ。

――本来の実力を取り戻してきたというところですか

そうだ。構造改革によってファンダメンタルズは明らかに好転している。会社全体できちんと利益を出すことができるようになってきた。

また、社員1人ひとりが成功体験を積み上げてきたことで、収益性への効果もさらに高まっている。結果が出るようになったことによって、「自分のやっていることは間違っていない」という自覚や確信ができつつある。不安がなくなって、社員のモチベーションが上がっている。

――ただ、26年2月期の上期(25年3~8月期)決算は2億円の営業赤字に転落しました(前年同期は営業利益6億円)。

1つには気象条件が非常に読みにくかった。春先の3月は気温が低く、春商戦の初動が遅れた。そして、7月や8月の記録的な猛暑。8月後半の秋商戦も飛んでしまい、プロパー商戦の開始時期にイレギュラーな気象状況が重なった。

さらに、物価が上昇して消費マインドが冷え込んだ。ユニクロやしまむらなどのマスマーケットは活況だったが、ラグジュアリーや高額商品が苦戦した。当社でも百貨店販路の不振が影響して厳しい決算を強いられた。

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