ライトオンがワールド傘下で再建、ジーンズの限界 自力再建は断念、今後も大量閉店が続く見通し
「代表取締役の私の判断不足と先読みの甘さがこの業績につながり、責任を感じている」。藤原祐介社長は表情を変えず、淡々と説明を行った。
ジーンズ専門店を手がけるライトオンは10月8日、記者会見を開き、アパレル大手のワールドが日本政策投資銀行と共に出資するファンド・W&Dインベストメントデザインを通じてライトオンにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。
買い付け価格は10月8日の株価の終値305円から64%ディスカウントした1株110円で総額は約20億円。TOB成立後もライトオンは東証スタンダード市場の上場を維持する。
スキームはやや複雑だ。まず、11月の株主総会の特別決議をもって、創業家の資産管理会社の藤原興産を引受人とする第三者割当増資を行い、創業家と藤原興産の保有比率を42.3%から51.9%に引き上げる。
そして、12月上旬にW&D社がTOBを実施し、藤原興産と創業家は保有する全株式をTOBに応募し譲渡。ライトオンはW&D社の子会社となる流れだ。藤原社長は退任する。
ジーンズカジュアル業態に限界
同日に発表された2024年8月期決算は実に厳しいものだった。売上高は前年同期比17.3%減の388億円、営業損益は50億円の赤字(前期は9億円の赤字)、最終損益は121億円の赤字(同25億円の赤字)となった。
既存店売上高は前期比13%減と大苦戦。スウェットや防寒アウター、Tシャツなど季節商品が低調だった。単価は上昇傾向だったが、客数は年間を通じて大幅なマイナス基調が続いた。在庫を消化するために値引き販売が増え、利益率も低下。店舗関連や全社の固定資産など50億円の減損損失を計上し、大幅な赤字となっている。
6期連続の最終赤字で財務は毀損し、債務超過寸前だ。自力での経営再建は険しく、他社と手を組む道を選ばざるを得なかった。
ライトオンはメインバンクによる提案で、昨年2月から協業先の検討を開始。銀行と協業先となるアパレル企業を絞り、今年2月にワールドへ打診、3月以降、シナジーについて協議してきた。今後は不採算店の閉鎖を進めつつ、経営幹部などの人材面から仕入れ、商品開発、店舗開発、物流などワールドのノウハウを活用して再建を急ぐ。
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