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輸入依存のバイオマス発電、海外のペレット産地では森林破壊で生物多様性喪失や洪水被害、炭素中立も疑問。「国産材中心に熱利用とセットで」

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泊みゆき(とまり・みゆき)/日本大学大学院国際関係研究科修了。NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長。富士総合研究所(現・みずほリサーチ&テクノロジーズ)で10年以上、環境問題、社会問題についてのリサーチに携わる。1999年「バイオマス産業社会ネットワーク」を設立、共同代表に就任。2004年NPO法人取得にともない理事長に就任。著書に『バイオマス本当の話──持続可能な社会に向けて』『私たちの電気代が支える偽りの気候変動解決策』(編著)(写真:今井康一撮影)

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泊みゆき氏はNPO法人バイオマス産業社会ネットワークの理事長を務め、バイオマス発電のあり方についても積極的な提言活動を続けている。泊氏は日本のバイオマス発電の現状は、本来のバイオマスの利用のあり方からかけ離れていると批判する。

──木質バイオマス発電について問題点を指摘されています。

欧州連合(EU)は再生可能エネルギー指令(Renewable Energy DirectiveⅢ=以下、REDⅢ)を制定し、森林由来のバイオマスを燃料とするバイオマス発電に原則、財政支援を行わないことを決定した。韓国はバイオマス発電への補助金を段階的に削減し、最終的に廃止する方針を発表した。

日本では輸入バイオマスを主な燃料とする出力1万kW以上の一般木質バイオマス発電について、2026年度からFIT(固定価格買い取り)制度およびFIP(フィードインプレミアム)制度に基づく新規認定の対象としないことが決まった。このように木質バイオマスを発電に利用してきた主要国・地域で、大きな政策転換が見られている。

バイオマス発電をめぐり政策転換が相次ぐ

──どのようなことが政策転換の背景にあるのでしょうか。

これにはさまざまな要因がある。EUや韓国の場合は、森林蓄積の減少や持続可能性の問題などが理由だ。日本での政策転換の最大の理由はコストの問題だ。

日本は木質ペレットやパームヤシ殻(PKS)といった輸入木質バイオマスを海外から大量に輸入して発電用燃料として燃やしている。バイオマス発電では、燃料費がトータルコストの7割程度を占めるともいわれ、FITのような助成制度がないと採算が合わない。ロシアによるウクライナ侵攻に前後してバイオマス燃料も高騰した。太陽光発電のような、設備の量産効果によるコスト削減も進まなかった。

結果として、国としてもこれ以上の導入を続ける意義がなくなっている。すでに導入量が30年度の電源構成目標である800万kWを上回っているということも、政策転換の理由に挙げられている。

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