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GX-ETSの第2フェーズ。制度の根幹である、排出枠の割当方法、ベンチマーキングの留意点をエネルギー政策の専門家が解説(後編)

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製鉄所もGX-ETS第2フェーズで対応を迫られる(写真:編集部撮影)
2026年4月より日本版排出量取引制度(GX-ETS)は新たな段階(第2フェーズ)に移行する。筆者は電力中央研究所の研究員であり、経済産業省の審議会で制度設計の議論に関与してきた。今般、第2フェーズ入りを前に、前編、後編の2回にわたって同制度のポイントについて解説する。後編の今回は、本制度の要となる排出枠の割当方法を紹介する。

一般に排出枠は、事前に決められた規則に基づいて、制度対象となる事業者に無償または有償で割り当てられる。GX-ETSでは、当面、全量を無償で割り当てる。有償割当、すなわち排出枠の政府オークションを行わない。事業者にとって、排出枠、特に無償枠の割当方法は大きな関心事である。このため、以下では無償割当の規則について述べる。

排出枠の事前割当

無償割当の方法は、グランドファザリング方式とベンチマーク方式に大別される。両者の大きな違いは、事業者に求める削減率が、一律か個別かにある。グランドファザリング方式では、過去の排出実績を基準に、目標とする削減率(2030年度まで年1.7%)を設けて割当量を算定する。このため、どの事業者も一律に毎年度にわたって1.7%の削減を求められる。

一方、ベンチマーク方式では、過去の活動量を基準に、目標とする排出原単位(活動量あたりの排出量)を設けて割当量を算定する。このときの原単位目標をベンチマークと呼び、業種や産業活動のプロセスごとに設定する。ベンチマークよりも原単位が大きい事業者は、そのままでは排出枠が不足する一方、原単位が小さい事業者には必要量以上の排出枠が割り当てられる。その結果、事業者ごとに求められる削減率が差別化される。

エネルギー多消費産業は本制度の影響を受けやすく、その業種特性に配慮する必要があるため、ベンチマーク方式が採用された。省令により、26年度からの制度では、図1に示す業種がベンチマーク対象に指定された。

ベンチマークは各社に求める削減率を左右する要素であり、対象業種ごとに、企業間の効率を比較・評価する適正なベンチマークの策定方法について議論された。特に製造業の場合、製品によって排出原単位に大きなばらつきがある。このため、比較可能な製造工程の範囲を特定し、二酸化炭素(CO2)の削減努力とは無関係な要因による原単位のばらつきがある場合は、その補正方法を検討した。

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