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三井化学の橋本社長が語る、石化事業を2027年に分社し再編を目指す複数の事情とは?西日本のエチレン再編の難しさや今後の成長戦略も吐露

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橋本修/はしもと・おさむ 1963年生まれ。北海道大学卒業、1987年三井石油化学工業(現三井化学)入社。経営企画部長やヘルスケア事業本部長などを経て、2020年4月社長就任(写真:今井康一)
三井化学は5月末に、2027年を目処に石油化学(石化)事業を分社化し、業界他社との統合・再編を核とする方針を打ち出した。中国勢の増産で市況が悪化し、国内需要の減少やカーボンニュートラル対応も迫られる中、分社化して業界再編につなげる狙いだ。一方で、成長領域をどう伸ばすのか。橋本修社長を直撃した。

 

次の一手を考えた時、再編が必要

――石化事業を分社化し、業界再編を目指すことを打ち出しました。背景には何があるのでしょうか。

石化は、特に中国における過剰生産能力が原因で2035年くらいまでは非常に厳しい状況が続く見立てだ。加えて、国内の人口減、グリーン化でリサイクルが進むことでバージン材(新品の原料)の必要量自体が減る。足元では中国の過剰生産と経済低迷も大きい。

これまでもフェノールやベンゼンといった個別の石化製品のプラントを閉鎖するなど、自社のリストラを進めてきた。だが、自分たちでやれるリストラはほぼ終わりに近づいている。 次の一手を考えた時、やはり再編が必要になる。

――社内の反応は?

不承不承ながら納得する人、積極的に捉える人、反応はさまざまだ。石化がダメだから切り捨てるのではなく、さらに強化してエッセンシャル産業として残るためにやる、ということを伝えている。

雇用はきっちり守っていくことなど、全国の事業所を回って説明している。組合も最初は驚きがあったが、話をしていくうちに理解を示し、サポーティブな形に変わってきている。

――他社から石化再編に「参画したい」といった声はありますか。

あからさまな反応はないが、ネガティブな声は少なくとも私の耳には入ってきていない。 やはり各社、変わっていかなければいけないという認識は同じだろう。

石化は国内におけるエッセンシャル産業であり、ここは残して強化していかなければならない、という点では一致しているのではないか。

――他社トップと話しても、石化再編の必要性を否定される方はいません。ただ、三井化学が打ち出したのは「ベーシック&グリーンマテリアル(BG&M)」という自社の事業セグメントでの分社・再編方針です。会社によってどの製品を石化に位置付けるか異なっているため、三井化学の呼びかけに乗りにくいという声を聞きます。

BG&Mをベースにすると言っているが、例えば、ポリプロピレンのコンパウンドをどうするかなど、境界領域についてはまだ決まっていない。今後の議論で、ここは本体に残すべきだ、ここは再編に入れるべきだといった話は出てくると思う。

具体的な枠組みは、将来のパートナーの事業ポートフォリオとの兼ね合いの中で決まってくるだろう。

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