日産開発者が激白、新車投入を阻む「2つの会議」、「エルグランド」を15年出せなかった日産の体質を新CEOは変革できるか

深刻な経営危機に陥る日産自動車の再建を託されたのは、46歳のメキシコ人。商品企画出身の若きCEOは日産をよみがえらせることはできるのか。
3月25日、次期社長兼CEO就任を1週間後に控えたイヴァン・エスピノーサ氏は、「ハートビート(心を打つよう)な日産の最高の商品を出していく」と熱弁を振るった。研究開発拠点の日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)へ国内外から多数の報道陣を招き、今後2年間での新型車の投入計画を明らかにした。
2025年度に3代目となるEV(電気自動車)「リーフ」の新型車を、2026年度に自社ハイブリッド技術であるe-POWERを搭載したSUV(スポーツ多目的車)「ローグ」の新型車を北米へ投入するなど、日産の商品力を強調した。「売れる車がない」と言われる日産のイメージ刷新を図るためだ。
エスピノーサ氏は直近まで商品企画のトップであるチーフプランニングオフィサーを務めてきた。「カーラバー(自動車愛好家)」を自認し、その明るい性格や人当たりのよさ、まじめな仕事ぶりから社内の評判はおおむね良い。

新型車を出せなかった戦犯の1人
だが、日産の開発現場から見るとやや事情は異なるようだ。「商品性と収益性で責任を持つポジションにいたのに、今の危機的状況を招いた戦犯の1人」、「1万人もいる厚木の開発陣を生かせず製品を世に出せなかった」。そんな恨み節も漏れてくる。
日産の目下の経営危機は、北米事業でのブランド力低下による値引き販売が主要因だ。現地で人気のハイブリッド車(HV)をトヨタ自動車やホンダのように展開できていないこともある。ただ、より根本的にはグローバルで新型車投入やモデルチェンジが長年停滞していたことによる商品競争力の欠如がある。
では、なぜ日産は新型車を投入してこなかったのか。
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