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【インタビュー】日産CTOが語る「商品を投入できなかった」後悔、「国内の研究開発はやめず」「エンジニアのコストを最適化する」

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赤石永一(あかし・えいいち)/1966年生まれ。1990年東京大学大学院航空宇宙工学修了、日産自動車入社。2015年北米日産の車両開発統括、2018年EV開発担当の常務執行役員、2024年三菱自動車との軽合弁会社NMKV社長などを経て、2025年4月より執行役CTO兼東風汽車取締役。現在の愛車はEVの「アリア」(撮影:尾形文繁)
6708億円の巨額赤字に転落し、ホンダとの経営統合も白紙となった日産自動車。経営悪化の要因の1つが、主力市場での車種のラインナップ不足だ。
今年4月にCTO(最高技術責任者)に就任した赤石永一氏は、日産で30年以上、車両設計や開発に携わってきた。6月の株主総会を経て、取締役に就任予定。日産の新経営体制を占うキーマンの1人でもある。
日産を立て直すうえで、商品の課題をどう捉えて戦略を練り直すか。5000億円のコスト削減を進める中で、開発の何を残し、何をなくすのか。赤石CTOを直撃した。

コストが想定通りになっていない

――今年4月にCTOに就任しました。選任の経緯は?

自分がどうして選ばれたのかは正直わからない。最終的には、内田誠前社長(3月末で退任)から「来年度、CTOをやってくれ」と言われた。日産の再建をしっかりやり遂げなければいけないという話をした。

私が管掌するR&D(研究開発)は、将来の車や技術の話だけでなく、基盤としてコスト競争力や開発スピードを上げることがこれから重要になる。お客さんに喜んでもらう車の投入は決して止めずに、われわれの仕事のやり方や車の作り方を変えて開発スピードを上げ、結果としてコストも下げていきたい。

――なぜ日産は経営危機に陥ってしまったと考えていますか?

収益性こそがいま日産が抱えている一番の問題だ。シンプルに、固定費を含めたコストが想定通りになっていない。

日産は10年以上前から販売台数を800万台にするというボリュームを目標にした拡大戦略をとり、門構え(工場などの生産能力)を広げていった。だが残念ながら想定通りに成長できなかった。成長できないとそれが1台当たりのコストや収益性に跳ね返ってくる。

また、商品を継続して投入できていない課題もある。あるときには集中して商品を出すが、地域やセグメントによっては間が空いてしまうということがあった。決して商品がないわけではないが、もう少しうまくできたのでは、と思うことはある。とくに日本や北米といった主要な地域では、継続してしっかり商品を出していくことが大事になる。

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