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経営危機の部品メーカー・河西工業、「日産出身」社長が語る経営再建、四半世紀前との違い、日産が求める「中国ベンチマーク」とは

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古川幸二(ふるかわ・こうじ)/1961年生まれ、長崎県出身。1984年九州大学経済学部卒業、日産自動車入社。2009年パワートレーンプロジェクト購買部部長などを経て2015年ジヤトコ入社、2017年同社専務執行役員調達部門長。2024年11月から河西工業社長。(撮影:大澤誠)
日産自動車グループ向けの売上高比率が5割超を占める河西工業。ドアトリムなどの自動車内装部品を製造するが、2020年3月期から5期連続の最終赤字に陥るなど経営難が続いていた。
昨年11月、日産から60億円の出資や、メインバンクのりそな銀行からの財務支援を取り付けたのもつかの間。その後、最大の取引先である日産の業績悪化やトランプ関税など新たな難題が浮上している。
現在、河西工業の再建の陣頭指揮を執るのは、日産やジヤトコの購買・調達部門を率いてきた古川幸二社長だ。日産の部品調達を知り尽くす古川社長はいかに今回の難局を乗り切るのか。河西工業と日産の再建の行方を聞いた。

河西の再建策は日産の工場再編案と切り離せない

――日産は5月に国内外の7つの工場を今後閉鎖していく方針を示しました。車両工場の閉鎖は、取引先である部品会社の生産再編にも連鎖していきかねません。

仮に日産の神奈川県内の工場が閉鎖されると、ここ(神奈川県寒川町にある河西工業の本社工場)もいらなくなってしまう。だから「河西工業としての構造改革や生産再編をどう考えるんだ」と聞かれていると思うが、日産の工場再編にかかわらず、私たちには自社の経営再建に向けた考えがもともとある。

――河西工業自身の経営再建のために工場の再編が必要です。

例えば、アメリカには5つの工場を持っている。そのうち2カ所は日産の工場に隣接している。仮にそのうち1つを集約すると製品を運ばなければいけない。主要製品のドアや天井などの自動車内装部品を1台分運ぶと数千円の物流コストが発生する。仮に5000円として、20万台分のドアを運んだら10億円もかかる。「河西工業の赤字解消のために再編が必要なので物流費を払ってください」という話をお客様がのんでくれるか? 難しいでしょう。

河西工業の経営再建のためにさまざまなことを考えているが、日産の再編案と切り離すことはできない。いくつか選択肢はある。物流コストを払ったとしても集約するという考え方もあるだろうし、例えば日産の工場の中で最終アッセンブリー(組み立て)をやらせていただく方法もあるだろう。現にそうやっているところもあるし、実現できればコストを削減できる。さまざまな案やお客様の再編について考えているところだ。

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