
20年以上にわたりソフトバンクグループの財務を担当してきた後藤CFO。かつてない規模に及ぶAI投資の勝算をどうみているのか(撮影:今井康一)
ここに来て、ソフトバンクグループが攻勢をかけている。OpenAIへの最大6兆円に及ぶ追加出資に加え、1月には、アメリカ国内におけるデータセンターなどのAIインフラに対し、今後4年間で5000億ドル(約75兆円)を投資する「スターゲート・プロジェクト」を発表するなど、一気にアクセルを踏む。
孫正義会長の側近として知られるソフトバンクグループの後藤芳光CFO(最高財務責任者)は東洋経済の取材に、「5000億ドルかけて(創出)できるコンピューティングパワーへの需要が十分あると判断した」と語り、投資対効果への考えや、金融機関との交渉状況について明かした(インタビュー前編はこちら)。
インタビュー後編となる本編では、壮大なAIインフラ計画ができあがった背景、同社の新たな関心領域として浮上した“電力”に対するスタンスを聞いた。
OpenAIのサムと意気投合した理由
――データセンター用地の交渉状況や5000億ドルという数字の組み立てについて聞くと、スターゲート計画の議論には、それなりの時間がかけられたように受け取れます。
1年以上にわたって前提の議論をしてきた。孫さんと(OpenAIのCEOである)サム・アルトマンの対話は、2年ぐらい前から始まっている。孫さんとサムは革命家同士なので、リスペクトし合いながら、意気投合できる。そうすると、何が必要とされているか、という議論になる。
サムは、自分の構想はこれだけあるけど、なかなかコンピューティングパワー、データセンターの環境が整っていない、と。
――過去、OpenAIへの出資交渉では、マイクロソフトと天秤にかけられ、ソフトバンクグループは投資機会を逃しました。ここに来て、スターゲートでの協業や日本国内での合弁設立など、OpenAIとの関係性が深まっています。
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