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老舗菓子の不二家社員が認定こども園の運営を自ら始めた背景とは。2人の「保育士」社員が社会福祉法人設立からゼロイチで事業を立ち上げ

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水野瑛理香さん(左)と田中沙良さん(右)。こども園の入り口には、不二家のキャラクターである「ペコちゃん」と「ポコちゃん」が座っている(記者撮影)
会社を動かすのは現場のビジネスパーソンだ。人気商品やサービスが生まれた背景、新たな挑戦の狙いとは。本連載では、その仕掛け人を直撃する。 

老舗菓子メーカーの不二家が今春、神奈川県秦野市で公私連携幼保連携型認定こども園を開園した。施設の名前は「ペコちゃんこども園ほりかわ」。運営を担うのは不二家が設立を支援した社会福祉法人PEKO SMILEで、バリアフリーに対応した施設内のところどころに「ペコちゃん」などのキャラクターが描かれている。

この社会福祉法人と認定こども園を立ち上げたのが、現在もPEKO SMILEで施設運営に携わっている水野瑛理香さん(33歳)だ。大学では機械工学を学んでいて、入社後は秦野工場などの製造ライン構築や工場設備の修繕に携わってきた。製造現場から保育の道へ転身した理由とは何だったのか。

原点は「育児と仕事」両立への不安

きっかけとなったのが、2020年の創業110年を機に開催された社内の新規事業のアイデアコンテストだ。当時妊娠中だった水野さんは「出産後も安心して働き続けられるのか」という漠然とした不安を抱えていた。「自分が抱えている不安は、出産を控えている従業員に共通する課題だと感じた。そうした漠然とした不安の解消のため何かできないかと考えて事業アイデアを企画し始めた」(水野さん)

具体的な事業内容を決定するため、水野さんは仕事の傍ら社内アンケートや職場でのヒアリングを実施。同じく妊娠中で不安を抱えている社員や、出産後も育児をしながら働く従業員の声を集めた。「20~30人くらいの従業員へのヒアリングなどの結果、職場に近い場所で安心して子どもを預けられるような施設が必要だと痛感した」(水野さん)

コンテストに応募した事業アイデアは「工場内に保育園を」。秦野工場の空きスペースに保育施設を作ることで、働く母親の支援につながると考えた。その後、選考が進み最優秀賞を獲得、晴れて事業化が決まった。「最終選考は出産後の退院日だったので、事前に作成した動画を送って選考に臨んだ。事業化に向けて動くために、育休を早めに切り上げて復帰した」(水野さん)。

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