生産設備用の各種部品を扱うミスミグループ本社(ミスミG)。3000万点超の膨大な品ぞろえを誇り、受注から標準2日目で出荷するスピードが最大の武器だ。その利便性から「ものづくりのインフラ企業」と称される一方、かつては「届くまで早い分、値段も高い」との印象で語られがちだった。
だが、近年はイメージを変えつつある。性能を抑えた廉価帯「エコノミーシリーズ(E品)」が好調なためで、特にアジア圏で急伸中。E品の顧客数は9万社を超え、2025年度の事業売上高は158億円(前年度比42%増)を見込む。
躍進の立役者が、アジア展開のディレクターを務めた實藤拓也さん(36歳)だ。営業モデルを練り上げ、各国の横断的な拡販プロジェクトを成功へと導いた。「単に商品を売るわけではなく、ミスミGの新たなブランドを認知させる戦いだった」と振り返る。
「ミドルレンジ」需要を開拓
實藤さんがE品と関わるようになったのは、営業マネージャーとしてベトナムに駐在していた20年。先行して投入済みだった中国に続き、ベトナムでの販売を命じられたのだ。少品種からテスト的に始めると、引き合いの強さは想像以上だった。
製造業の世界では、中国企業の台頭で価格競争が激化している。以前は日系メーカーなら日系のサプライヤーを使うなど、自国の取引先を優先する傾向にあったが、そのこだわりは薄れている。少しでもコストを抑えるため、ローカル企業からの調達を増やす動きもあった。




















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