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ニッチな乾燥性敏感肌市場を切り開いてきた「キュレル」、社内の無関心を乗り越え花王の大黒柱に成長した軌跡

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石田耕一(いしだ・こういち)1985年花王入社。1996年に発売された「ビオレ毛穴すっきりパック」の開発を担当。2002年から2014年までキュレルの商品開発に携わる。現在は研究開発部門研究戦略・企画部にて主席研究員を務める(記者撮影)
会社を動かすのは現場のビジネスパーソンだ。人気商品やサービスが生まれた背景、新たな挑戦の狙いとは。本連載では、その仕掛け人を直撃する。 

花王の敏感肌ブランド「キュレル」は、今や同社の化粧品事業の屋台骨を支える大ヒットブランドだ。「敏感肌のためのブランド」の代表として、ダーマコスメ・スキンケア(皮膚科学に基づいた化粧品やスキンケア)市場では36.8%(2024年時点、ユーロモニター調べ)の圧倒的なシェアを誇り、売り上げ規模は年間500億円まで拡大している。

しかし、その輝かしい現状に至るまでには、「社内の無関心」という逆風の中、担当者が地道に開発を続けた、苦節26年の歴史がある。

初期から開発に携わっていた研究開発部門の石田耕一氏は「正直、当初社内ではほとんど期待されていなかったんじゃないか」と、ブランド誕生時を振り返る。マス市場を主戦場とする花王において、ニッチな「乾燥性敏感肌」を狙う挑戦は、冷めた目で見られていたという。

わずか2人のプロジェクトチームから始まった

花王の敏感肌ケアブランド「キュレル」の源流は、1976年に設立された同社の「皮膚研究室」にさかのぼる。

85年、花王は食器用洗剤の使用による手荒れのメカニズムを突き止める研究の中で、「セラミド」が肌のうるおい保持とバリア機能に不可欠であることを発見した。

そして93年、「セラミド機能成分」を高濃度で配合したクリームの開発に成功した。

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