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総選挙の圧勝で、高市首相は大統領的な権能を手にした。行政権が強大になる中で、江戸幕府の柳沢吉保のような「側用人」が出てくるはずだ

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高市首相にアクセスする回数の最も多い官僚が誰であるかが、今後の権力中枢の構造を分析するうえで重要になる(写真:ブルームバーグ)

日本の新聞や有識者は、2月8日に投開票が行われた第51回衆議院議員選挙で「国民が高市早苗首相に白紙委任状を渡した」という現実を認めようとしない。その典型が2月9日の朝日新聞社説だ。〈そもそも選挙戦の勝利は、有権者の「白紙委任」を意味しない。首相が政策の中身の具体的な説明から逃げ続けていたのだから、なおさらだ。国論が二分しないよう、丁寧な合意形成に努めるのが一国の指導者の責務である。「数の力」で強引に進めれば、社会の分断を助長するだけだ。〉

事実上の大統領選挙だった

〈そもそも選挙戦の勝利は、有権者の「白紙委任」を意味しない〉というのは、朝日新聞論説室の認識もしくは希望的観測にすぎない。高市氏は1月19日、「高市早苗が首相でよいのかどうか、国民に決めていただく」と述べ解散を表明した。高市氏が白紙委任を求め、国民の多数派が「御意」と答えたというのが実態だ。だから、高市氏が具体的説明から逃げているという批判は世論の共感を呼ばないのだ。

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国論を二分する問題などというものは、そもそも存在しない。国論を二分するような問題を高市首相がこれからつくり出していくのだ。その際に高市氏が勝つような分節化を行う。これからの政治は数の力で進められていく。国民の多数派はそれを強引と思わないだろう。こういう状況で圧倒的な優位性を持つようになる行政権の暴走を避けるために、具体的にどのような方策を取ることができるかを考える必要がある。具体的方策については後で言及する。

この総選挙は事実上、日本初の大統領選挙だった。しかも選挙公約が明確でなく、高市氏という個人に対して全権を委任する形になった。日本の政治構造が今後半年から10カ月程度で、大きく変化する可能性がある。ちなみに安倍晋三元首相の場合は、当時連立与党だった公明党と自民党内の派閥のバランスに配慮する必要があったので大統領型の統治はできなかった。自民党の大多数の派閥が解消され機能しなくなったことに加え、公明党が野党になったことで、高市首相を内側から縛る制約条件がなくなった。

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