2026年は「反EUなら勝利する時代」の終わりか/政治的変化の兆しの一方、経済は停滞ぎみ。フランス発の金融市場の混乱も

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南米南部共同市場(メルコスール)とのアクセス強化を進めるEUに対し、12月にはベルギー・ブリュッセルで農民の抗議活動が行われた(写真:Bloomberg)

近年の欧州連合(EU)は、政治的な安定を欠いており、それが経済運営を円滑に行ううえでのボトルネックの1つとなっている。

2026年の選挙は小国が大半

執筆時点で、2026年にEU加盟国で国政選挙を予定している国は、ポルトガル(1月25日~2月8日)の大統領選挙を皮切りとして、以下、人口1000万前後かそれ未満の小国ばかりである。

具体的には、スロベニア(4月24日)、ハンガリー(4月まで)、キプロス(5月24日)、スウェーデン(9月13日)、ラトビア(10月3日)、デンマーク(10月まで)である。

ポルトガルを除けばいずれも議会選だが、旧来の政党の求心力の低下が著しい状況で、新興の政党がどれだけ議席を獲得するかが注目されるところだ。

欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行うエコノミストによるリポート

これまで、新興の政党は反EUを一種の政治的な方便として利用してきた。しかし、そうした手段も、限界を露呈し始めている。実際、来春予定のハンガリーの総選挙では、反EUを前面に押し出してきたビクトル・オルバン首相率いる右派政党フィデスは目下、新興の右派政党ティサに支持率で負けている。興味深い現象である。

先んじて2025年10月に行われたオランダの総選挙でも、ヘルト・ウィルダース氏が率いる右派政党の自由党が事実上の敗北を喫し、旧来の中道政党である民主66が第一党に躍進した。同党のロブ・イエッテン党首はわずか38歳と若く、有権者はそのフレッシュさに期待を寄せる。反EUなら勝利するという単純な構図は崩れつつある。

結局、有権者は閉塞感を抱えており、その打破を期待している。EUにはもちろん、問題はあるが、それを政治的な方便として利用しているだけの政治家に、将来を期待することもできない。こうした冷静な動きが、緩やかながら拡がっているように見受けられる。2026年は欧州の政治のフェーズが変化したのかを確かめる一年となりそうだ。

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