会員限定

ブルガリアを最後にユーロ圏拡大はついに終止符?/政治混乱で経済安定化を求めたブルガリアだが、残りの未導入国は自国優先の政治的判断

✎ 1〜 ✎ 65 ✎ 66 ✎ 67 ✎ 68
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
※本記事は2026年1月17日7:00まで無料会員は全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。
2026年1月1日、ブルガリアのカフェのレジで店員がユーロ紙幣を扱っている様子(写真:Bloomberg)

2026年の年明けから、中東欧の小国であるブルガリアが、欧州連合(EU)の統一通貨であるユーロを導入した。ユーロ圏の拡大は2023年1月のクロアチア以来。ブルガリアのユーロ導入は21番目となる。

EU加盟国27カ国のうち6カ国が未導入だが、このうち5カ国は否定的な姿勢を堅持する。ユーロを導入する意向がある国はルーマニアだけだ。

欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行うエコノミストによるリポート

とはいえ、そのルーマニアも経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)の悪化が著しく、ユーロを導入するための収斂基準(為替、金利、物価、財政の安定)の達成は極めて困難だ。

したがって、今回のブルガリアのユーロ導入で、ユーロ圏の拡大は一服し、長期の停滞局面に入ることになると予想される。事実上、拡大はいったん、打ち止めとなる。

小国がユーロを導入するメリット

ユーロ圏の人口は3億5000万人程度だが、ブルガリアの人口は約670万人にすぎず、経済規模は非常に小さい。

また2010年代のギリシャショックを受けて、EUでは債務危機に陥った国を支援する仕組みが整備された。ゆえに、余程のことがない限り、ブルガリア発のショックがユーロの信用力を棄損する事態に陥ることは考えにくい。

ブルガリアのように供給力に乏しい小国にとって、通貨の安定は、マクロ経済運営上の最優先課題となる。もともとブルガリアは、いわゆるカレンシーボード制による為替政策の下、自国通貨だったレフとユーロ(最初は当時のドイツマルク)のレートを固定していた。今回のユーロの導入で為替リスクが完全に消滅したことで、さらなる安定を得た。

ユーロ導入の半年前、自国通貨喪失への反感や便乗値上げへの警戒から、ユーロ導入に対するデモが首都ソフィアなどの都市部で生じた。ブルガリア国民のユーロ導入に対する感情は複雑だったようだ。

しかし中長期的な観点からは、このタイミングでユーロ導入を実現できたことは、ブルガリアにとって非常に幸運なことだったと言えよう。なぜか?

次ページ政治危機が続くブルガリア
関連記事
トピックボードAD