ドルに並ぶ「基軸通貨」を目指すユーロは金を超えられるのか?外貨準備ではユーロより金、ユーロに欠けたピースが「再軍備計画」で埋まる時

年初来、ユーロ相場の堅調が続いている。対ドルでは1.20に肉薄し、対円では1ユーロ=175円弱の高値で推移している。
周知の通り、第2次トランプ政権発足以降、アメリカが孤立性を深めるに伴い「ドルの基軸通貨性」が為替市場、いや金融市場全体で争点化している。
具体的には「ドルの基軸通貨性は毀損しているのか」という問題意識が浮上しているわけだが、それは同時に「結果として浮上する通貨は何か」という問題意識とも重なる。
「ドルの基軸通貨性」が毀損しているとはいっても、それは「ドル一強体制」から「多極通貨体制」への移行を意味するだろうから、引き続きドルの支配的な地位を踏まえた上で「ドル+α」の世界観を想像することになる。金融市場の見通しを検討する上では、α部分に関しどの通貨の台頭を想像するかが重要になる。
ECBに垣間見えるユーロ国際化の野心
この点、直感的にはドルの写し鏡としてユーロが当然注目されやすく、現在の堅調をその文脈から理解しようとする向きは少なくない。実際、その守護者であるECB(欧州中央銀行)からも同論点への言及が多く見られ始めている。
改めて「ユーロは第2の基軸通貨足り得るのか」という点に関し、最近のECBが提示した議論を踏まえ、論点整理を行いたい。
ラガルドECB総裁は2025年6月17日にECBサイト内のコンテンツである「The ECB Blog」で「Europe’s “global euro” moment」と題した論考を自身の名義で発表している。ちなみに、これとまったく同じ論考は同日の英Financial Times紙にも寄稿されている。
これらはその約1週間前に公表されているECBのペーパー「The international role of the euro」の分析を踏まえたものであり、ECBがユーロの国際化について相応の関心を抱いていることがわかる振る舞いと言える。
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