ドルに並ぶ「基軸通貨」を目指すユーロは金を超えられるのか?外貨準備ではユーロより金、ユーロに欠けたピースが「再軍備計画」で埋まる時
論考を踏まえる限り、「ドル一強体制が揺らいでいる今こそ、ユーロが国際通貨として役割を拡大できる好機」との思惑は明らかに抱かれている。しかし、「ドルの自滅によって自動的にユーロが浮上する」というほど楽な話ではなく、あくまで「自ら勝ち取るべき」と断じている。
これはかねて本欄で確認しているように、世界の外貨準備におけるドル比率低下に伴ってユーロ比率がほとんど上がってこなかった経緯を踏まえれば至極当然の姿勢だろう。
現在の取引量がドルに次いで大きいからと言って、自動的に選んでもらえるわけではなく、「ユーロの保有はここまで」と見限っている投資家も存在するだろう。こうした趣旨の主張はラガルド総裁が記者会見でも折に触れて発言してきた点である。
外貨準備に選ばれているのはユーロよりも金
実際、ECBペーパー「The international role of the euro」でも紹介されているが、2024年末時点で世界の中央銀行が保有する金の総量は3万6000トンで、金本位制の最中にあったブレトンウッズ体制時代である1965年の3万8000トンに肉薄している。
これを市場価格で評価した場合、「世界の外貨準備に占める金の割合は20%に達しており、ユーロの16%を上回っている」との指摘は、すでに多くの報道で見られている通りだ。

ちなみに2010年代を平均すると金の割合は約10分の1であったというからその変化の大きさに驚くばかりである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら