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トランプ関税以来の「ドル凋落」論、実際に起きているのかデータで確かめてみた…基軸通貨の終わりとまで言われたが、目先は「有事のドル買い」

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「マールアラーゴ合意」などドルをめぐるさまざまな言説が取りざたされた(写真:Bloomberg)

イスラエルとイランの緊張状態は小康を得たが、6月13日以降、為替市場では明確にドル全面高の地合いが続いた。

第3次世界大戦まで視野に収めた「有事のドル買い」の勢いは強く、ドル/円相場は一時148円台まで急騰した。対円での動きはとりわけ大きかったものの、世界的に欧州資産へのローテーションが指摘される中でもドルは相応の底堅さを見せた。

要するに、4月以降、「ドルに依存した国際金融体制は終焉を迎える」というドル凋落論が幅を利かせたものの、蓋を開けてみれば「有事のドル買い」が影響力を見せたというのが今回の総括になるだろう。

外国人の米国債保有は「微減」

筆者は4月2日にトランプ大統領が相互関税を発表した「解放の日」以降に取り沙汰されてきたドル凋落相場というテーマについては一貫して距離を置いてきた。

その理由はいくつかあるが、そもそも裏付けとなる資本フローの証拠がないうちに、それほど大きな話はすべきではないというのが筆者の基本姿勢であった。

この点、6月18日にはアメリカ財務省から4月分の対米証券投資統計(TICデータ)が公表されている。ヘッドラインでは4月末時点の米国債保有残高に着目するものが多く、外国人による米国債保有残高が前月比360億ドル減の9兆0100億ドルと微減にとどまり、日本が最大の保有者であることや、中国は若干ではあるが持ち高を減らしたことが報じられるにとどまった。

しかし、米国債保有者の上位国・地域は日本と中国を除けば英国、ケイマ諸島、ベルギーなど金融センターとして記帳された結果が反映されていそうな国々であり、米国債保有残高だけから得られる情報では不十分に思える。

せいぜい中国保有分の増減が争点になるだろうが、これも英国やベルギーを経由して保有されている可能性もあり、やはり月次で国・地域の動きを丁寧に追うことが適切な現状把握や展望の策定に役立つだろう。

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