アメリカのコーヒーチェーン大手、スターバックスが1年以上にわたって模索してきた中国事業の売却計画が、ついに決着した。
11月4日、スターバックスは中国の有力投資ファンドの博裕投資(ボーユー・キャピタル)と戦略提携し、両社で合弁会社を設立して中国事業を共同運営すると発表した。
博裕投資は約24億ドル(約3689億円)を出資して合弁会社の株式の60%を取得し、経営権を握る。一方、スターバックスは40%の持ち分を維持するとともに、合弁会社に対してブランドや知的財産権(の中国エリアでの利用権)をライセンスすることで、中国事業にコミットを続ける。合弁会社の設立は2026年3月末までに完了させる予定だ。
市場の噂を大幅に下回る
中国の投資業界関係者の多くは、この発表に複雑な思いを禁じえなかった。というのも、博裕投資の出資額はスターバックスの中国事業の価値を約40億ドル(約6148億円)とする評価に基づいており、市場で噂されていた50億~60億ドル(約7685億~9222億円)を大幅に下回っていたからだ。
スターバックスの25年7~9月期の決算報告書によれば、同社は9月末時点で中国に8011店を展開しており、これは全世界の総店舗数の約2割に相当する。また、スターバックスの時価総額は11月4日時点で約905億ドル(約13兆9093億円)であり、仮に店舗数の比率で按分すれば、中国事業の価値は約181億ドル(約2兆7819億円)と評価されてもおかしくはない。
同じく決算報告書によれば、7~9月期のグローバル売上高は95億6900万ドル(約1兆4707億円)で、中国事業はそのうち約8%を占めた。つまり、グローバル売上高への貢献度で見た中国事業の価値(訳注:時価総額の8%)は約72億ドル(約1兆1066億円)となるが、今回明らかになった評価額はその6割に満たない。
スターバックスはなぜ、そんな“ディスカウント価格”で中国事業を売り渡すことになったのか。
「噂されていた評価額はそもそも高すぎ、取引の成立は困難だった。中国のコーヒーチェーン市場の競争は熾烈で、スターバックスが現在のポジションを維持するのは容易でないからだ」。中国のあるPE(プライベートエクイティ)ファンドの責任者は、財新記者の取材に対してそう述べた。




















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