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中国の高級白酒「マオタイ」、価格プレミアムの消滅が映す景気悪化の実態。投機需要だけでなく実需も縮小

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茅台酒は約400年の歴史を持ち、事実上の「国酒」として中国政府の宴席でもふるまわれている(画像:醸造会社の貴州茅台酒のウェブサイトより)
中国景気の実態に迫ろうとする時、中国ウォッチャーたちは政府の公式統計だけに頼らず、民間のさまざまな指標を併用する。その1つとして知る人ぞ知るのが、中国の宴席に欠かせない蒸留酒「白酒(バイチュウ)」の市場価格の動きだ。
代表的な高級白酒「飛天茅台(フェイティエン・マオタイ)」の市場価格は長年にわたってメーカー希望価格を大きく上回っていたが、2024年から下落に転じ、ここにきてついに価格プレミアムが消滅した。それは何を物語っているのか。


 中国を代表する高級白酒「飛天茅台」の市場価格がメーカー希望価格を割り込み、価格プレミアムがついに消滅した。

酒類専門の価格情報サイト「今日酒価」のデータによれば、飛天茅台の12月12日時点の市場価格はバラ売りが1瓶当たり1485元(約3万2720円)、ケース売り(6本入り)が同1495元(約3万2940円)と、メーカー希望価格の同1499元(約3万3030円)をそろって下回った。

飛天茅台は貴州省の特産品として知られる茅台(マオタイ)酒の銘柄の1つで、醸造会社の貴州茅台酒の看板商品だ。高梁(コウリャン)を原料に手間暇かけて蒸留されており、アルコール度数は53%、1瓶の容量は500ミリリットル。その味わいと希少性から長年にわたって需要が供給を上回り、市場価格がメーカー希望価格を大きく超えていた。

(訳注:飛天茅台の市場価格は、ピークの2020~23年には1瓶当たり3000元[約6万6100円]超に達していた)

かつては抱き合わせ販売も

ところが、24年を境に市場価格は下落に転じ、25年6月には販売店にとって心理的な節目とされた2000元(約4万4070円)を切った。

「販売店が(人気商品の)飛天茅台を仕入れる際、売り手側はあまり売れ行きがよくない別の商品との抱き合わせを求めることが多く、その分の損失を埋め合わせられる採算ラインが(1瓶当たり)2000元だった」。ある酒類専門の買い取り業者は、財新記者の取材に対してそう解説した。

市場価格はその後も下げ止まらず、白酒の需要期であるはずの国慶節(中国の建国記念日)や中秋節の連休にも持ち直すことはなかった。そして12月に入ると、市場価格は1瓶1500元(約3万3050円)に近づき、とうとう12日にメーカー希望価格を割り込んだのだ。

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