中国の粗鋼生産量がわずかながら減少に転じたことがわかった。中国国家統計局が7月15日に発表したデータによれば、2024年上半期(1~6月)の中国全土の粗鋼生産量は5億3000万トンと、前年同期比1.1%の減少を記録した。
「上半期の生産量の減少は、鉄鋼メーカーの消極的な減産によるものだ。国内の鋼材需要が低迷し、十分な受注量が得られない中、鉄鋼メーカーの多くが赤字に陥っている」
情報サービス会社、我的鋼鉄網のチーフアナリストを務める徐向春氏は、財新記者の取材に対してそう解説した。
鞍山鋼鉄集団は赤字倍増
上場鉄鋼メーカー各社が開示した業績予想を見ると、2024年1~6月期の損益見通しは軒並み赤字になっている。
例えば遼寧省の鞍鋼集団の上場子会社である鞍鋼股份は、1~6月期の赤字額が前年同期の約2倍の約26億7900万元(約583億円)に拡大すると予告した。河南省の安陽鋼鉄集団も、上半期の赤字額が前年同期の約1.5倍の12億6000万元(約274億円)に膨れ上がると予想する。
安徽省の馬鞍山鋼鉄股份は、前年同期に比べて約10億8700万元(約237億円)の損益改善を見込む。とはいえ、1~6月期の予想損益は11億4800万元(約250億円)の赤字であり、黒字転換には至らない。
各社は赤字見通しの理由について、「供給量に対して需要が弱く、鉄鋼業界全体が利益を生み出せない構造に陥っている」と釈明する。(エンドユーザー向けの)鋼材相場の低迷が続く中、(鉄鉱石や石炭などの)原材料相場も下がってはいるものの、鉄鋼製品の価格の下げ幅が原材料よりも大きく、鉄鋼メーカーの利幅が削られているという。
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