貨物用コンテナの製造・販売で世界最大手の中国国際海運集装箱集団(CIMC)は3月26日、2019年の業績を発表した。それによれば、連結売上高は前年比8%減の858億1500万元(約1兆3132億円)に、連結純利益は前年の半分以下の15億4200万元(約235億円)に大きく落ち込んだ。
業績悪化の最大の要因は、米中貿易摩擦の高まりでコンテナ海運市場の先行きへのマインドが世界的に悪化したことだ。コンテナ製造で世界2位の勝獅貨櫃企業(シンガマスコンテナ)の状況はCIMCよりさらに厳しく、連結売上高は前年比6割減の7億1200万ドル(約772億円)、連結純利益は1億1000万ドル(約119億円)の赤字に転落した。
コンテナ海運市場への米中貿易摩擦の影響は2019年に集中的に表れた。アメリカの対中追加関税を懸念した輸出業者が、一部の商品を2018年のうちに前倒しで出荷したためだ。その反動で2019年のコンテナ海運需要が大きく落ち込み、新品コンテナの調達も大幅に減少してしまった。
海運最大手マースクも利益予想を下方修正
「同業他社との競争激化で新品コンテナの価格も下落した。20フィート・コンテナの価格は2018年は2100ドル(約22万円)以上したが、現在はわずか1700ドル(約18万円)だ」。CIMC董事会秘書室(取締役会事務局に相当)の主任を務める呉三強氏は財新記者にそう語った。
呉氏によれば、新型コロナウイルスの影響はコンテナ製造業界ではまだ顕在化していない。CIMCは既に生産を全面再開しており、主に春節(中国の旧正月)前からの受注残に対応している。米中両国が1月15日に第1段階の貿易合意に署名したため、コンテナ海運市場のマインドは改善しており、新品コンテナへの引き合いは増えているという。
だが新型コロナの流行が全世界に広がるなか、グローバル貿易全体が停滞に陥れば、海運業界およびコンテナ製造業界への打撃は避けられない。呉氏はそう率直に認めた。コンテナ海運世界最大手のAPモラー・マースク(デンマーク)は、既に2020年の利益見通しを下方修正している。
コンテナ製造業界への影響の大きさはまだ見通せないが、ウイルスの世界的流行が長引けば長引くほど痛手は大きくなるだろう。
(財新記者 賈天瓊)
※原文は3月28日配信
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