新型コロナウイルス流行の逆風下でも、ベンチャー投資家は法人向けサービスの前途に依然強気なようだ。ビッグデータの解析・活用支援サービスを手がける明略科技(マイニングランプ・テクノロジー)は3月27日、総額3億ドル(約320億円)のシリーズEラウンド資金調達を完了したと発表した。
中国IT大手の騰訊(テンセント)とシンガポール政府系のテマセク・ホールディングスがリード投資家を引き受け、ショート動画アプリの北京快手科技も投資した。明略科技の創業者でCEO(最高経営責任者)の呉明輝氏は、資金調達後の同社の評価額は数十億ドルに達するとの見方を財新記者に示した。
呉氏によれば、シリーズEの実現には過去の資金調達より長い約半年の準備期間を費やした。IT企業の資金調達環境が全体的に以前より厳しくなっていることに加え、新型コロナウイルス流行の影響を受けたのが理由だという。
公安部門向けシステム開発で頭角現わす
明略科技の創業は2014年。中国政府は2013年の「スノーデン事件」(訳注:アメリカ国家安全保障局 (NSA)の元局員のエドワード・スノーデン氏が、NSAによる国境を超えた情報監視網の存在を暴露した事件)をきっかけに、情報システムの調達先を国内のIT企業にシフトした。明略科技はその流れに乗り、中国各地の公安部門向けのシステム開発から頭角を現わした。
公安部門が求めるデータ・アクセスやデータ処理のプラットフォーム、知識データベースなどの構築を支援。テキスト、音声、画像などの各種データを解析して連携させ、人、場所、物、組織などを結節点とするネットワークを描き出すことで、事件の解決をサポートしている。
その後、明略科技は金融機関の不正防止システムやマネーロンダリング防止システムなど、事業分野を公安向け以外にも拡大。最近は小売業界や外食産業の顧客開拓にも力を入れている。例えば、自動車販売会社が潜在顧客を見つけ、最適なマーケティングを行うための支援システムなどだ。
新型コロナウイルスの流行は、明略科技がサービスを提供する小売業界や外食産業に大きな打撃を与えている。短期的には同社の収益にも負の影響が避けられない。
だが長期的に見れば、新型コロナの被害が最も小さいのは業務のオンライン化が進んでいる企業だ。ウイルス流行が業務のデジタル化、オンライン化を企業に促し、法人向けサービスの市場拡大を後押しする。呉氏はそう予想している。
(財新記者:張而弛)
※原文は3月27日配信
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