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雇用統計が「不正に操作」と言い張るトランプの愚。統計をいじったギリシャ、アルゼンチンの末路

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(写真:Tierney L. Cross/The New York Times)

8月1日に発表された弱い雇用統計が気に入らなかった大統領ドナルド・トランプは、雇用統計を作成している労働統計局のトップを解雇した。

このようなことは、100年にわたるアメリカの経済統計の歴史上、ほとんど例がない。前例がないのには正当な理由がある。政治指導者が政府データに干渉して、よい結果に終わることはまずないからだ。

例えばギリシャでは、政府が長年にわたって財政赤字の数字を粉飾し、それが一因で深刻な債務危機が勃発、救済措置が何度も必要になった。ギリシャはその後、正しい数字の報告にこだわった統計機関のトップを刑事告訴し、国家としての国際的な地位を一段と低下させた。

中国の例もある。中国では2000年代初頭、中央政府の定める成長目標を達成しようとして地方当局がデータを操作した。そのためアナリストや政策立案者たちは、中国の経済状態を判断するのに、別の手段に頼らざるをえなくなった。

統計改ざんの“最も有名な例”

おそらく最も有名なのは、アルゼンチンの例だろう。

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