数字に嘘をつかせるのは、いつでも人間
ビジネスリーダーは、数字への信頼を「われわれはデータ駆動型組織だ」とか「数字は嘘をつかない」などといった言葉で公言しがちだ。データに注意を払うのは、データを無視するよりはよいことだが、その解釈には先入観が伴うことを忘れてはならない。
経済学者のカーメン・ラインハートとケネス・ロゴフは、政府債務と経済成長の関連性に関する過去のデータを分析する際、エクセルのスプレッドシートの列の一番下まで数式を埋めることをうっかり忘れてしまった。その結果、彼らは、「政府債務の国内総生産(GDP)比率が90%に達すると、経済成長の見通しが致命的に低下する」という誤った結論を導き出した。
この研究結果は、政府は過剰な支出とそれを借金でまかなうことを警戒すべき、つまり緊縮財政を実行すべきであるという賛否両論ある彼らの政策提言を支持するものだった。


















