日本の天皇が「血筋より家の存続」で選ばれた合理的理由 中国の皇帝と決定的に違う「血統への考え方」
源氏物語に見る天皇家の血筋
天皇はその血筋の正統性が重んじられる一方で、真に重んじられたのは「家」の存続でした。
まずは、日本最古の長編小説と言われる『源氏物語』の世界を振り返ってみましょう。あらすじを見てみると、主人公の光源氏は天皇の子として生まれますが、跡継ぎ候補ではなかったため、「源氏」という氏を賜って臣籍に降下し、形式的には一般人という立場にいます。
しかし、その後、光源氏は義母と禁断の関係に陥って子どもをもうけます。義母が光源氏の子であることを隠し続けたため、その子はやがて天皇として即位するのです。
どうでしょうか。普通に考えたら「そんなことして大丈夫なのか」と感じてしまう物語ですが、これを当時の人々が読んでも「これはおかしいだろう」との批判の声は上がらなかった。
つまり「一般人になった元皇族の血縁が、天皇に即位するなんて絶対にあり得ない」という厳密な発想は、平安時代の日本にはなかったのです。



















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