日本の天皇が「血筋より家の存続」で選ばれた合理的理由 中国の皇帝と決定的に違う「血統への考え方」

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これは中国の場合とは非常に対照的です。中国では、皇帝の血は純粋でなければならないし、ほかの血統が混じってはならないと考えられていた。だからこそ、男子は絶対禁制の後宮制度を設け、厳格に血統を守っています。中国と比較すると、日本の皇室は血統についてはかなり“いい加減”だったと言えるでしょう。

平安時代は、恋愛や男女関係におおらかな時代であったこともあるのでしょうが、天皇の妻が不倫の末に子をもうけ、その子が皇位に就く可能性すら否定されてはいなかった。その裏には、「天皇家」という「家」が続けばよいという考え方があったのだろうと思われます。

余談ですが、女性の即位についても、中国と日本では考え方の違いがみられます。中国には則天武后を除けば女性の皇帝はいません。則天武后にしても権力闘争の末に即位した特殊な例なので、原則として女性の皇帝というのは存在しないのです。

一方の日本には卑弥呼や天照大神、女性天皇なども存在したので、女性が皇位につくことへの違和感はそれほど強くはなかった。それを考えれば、現在日本で盛んに叫ばれる女性天皇問題について、やみくもに反対するのではなく、もっと柔軟に対応してもよいのではないかとも感じてしまいます。

奈良時代には女性天皇が何人も存在した

とはいえ、天皇家が血筋を重んじなかったのかといえば、そういうわけではありません。根拠として挙げられるのが、奈良時代の女帝・孝謙天皇と道鏡の「宇佐八幡宮神託事件」でしょう。

現代でも大きな論点となる女性天皇の是非ですが、奈良時代には、女性の天皇が何人も存在します。しかし、重要なポイントとしては、彼女たちは積極的に天皇に即位したわけではなかったという点です。

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