なぜ吹奏楽は「大きなビジネス」に発展しないのか?地域移行の最大ネック「活動費」の問題解決も阻む《独特の文化》の弊害
部活動の地域展開は、主に教員の働き方改革の一環として語られがちだが、問題の本質的な背景は「少子化」である。
もちろん、教員の過重労働は見直されるべきだが、地域展開は「加速する少子化の中、子どもたちを育む場として発展してきた部活文化をいかに再構築して新たな価値を創造していくか」を前提に考えなければならない。
すでにそうした視点で地域展開を始めている自治体も増えてきてはいるが、それはまだほんの一握りである。地域展開は、部活動をこれまでとは異なる形態で運営する必要があり、再考すべき要素が山ほどあるからだ。
地域展開に影を落とす吹奏楽部の「経済的問題」
特に吹奏楽部は、ほかの部活動と比較しても、運営の再整備に検討が必要な要素が多い。
例えば、練習場所の確保、楽器や機材の整備・購入・保管・運搬、楽譜や譜面台の準備、メンバーの移動手段といった「ハード面」のほか、指導者やスタッフの確保・育成、メンバーの募集・広報、活動方針や運営ルールの策定、地域連携や協力体制の構築、演奏会などの企画・運営といった「ソフト面」も再考すべきことが多い。
これらは、従来の部活動で「当たり前」に運営できていたが、学校を離れ再構築しようとすることは容易ではない。
最も大きなネックとなっているのが、「経済的支援の問題」である。
全日本吹奏楽連盟も2022年に提出した「『文化部活動の地域移行に関する検討会議提言(案)』に対する意見書」において国に財政支援を求めており、昨年末には文科省に吹奏楽部の地域移行化にかかる費用負担について直接陳情を行っている。
なぜ、そんなにお金が必要なのか。従来型の吹奏楽部の運営収支を見てみよう。


















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