「吹奏楽コンクール」今の仕組みは"昭和"のまま?何十年も見過ごされてきた「音楽理論の欠如」、期待される<指導者の"読譜力"向上>
今年も「吹奏楽コンクール」のシーズンが幕を閉じた。例年、日本の吹奏楽界は、7月から11月にかけてコンクールが行われ、秋が深まる中で次年度への仕切り直しを始めるのが一般的な流れである。
だが、今後も例年のように足並みを揃えて次年度の準備ができるとは限らない。少子化の一途をたどる情勢に鑑み、私たちはここまで発展してきた吹奏楽文化の再構築に一刻も早く着手しなければならない。
「演奏レベル向上」の裏で起きている問題
すでに少子化を見据えた部活動地域展開に向け、子どもたちがより音楽的かつ芸術的に健全で、創造的に音楽と向き合える環境を整える必要性が、多くの人々によって議論されている。
例えば、吹奏楽コンクールにおける中高生の演奏レベルの向上は、これまで多くの人々の注目を集めてきた。その驚異的な進歩は称賛に値するが、一方で、いくつかの問題提起もなされている。
目を見張るほどの技術的高さの裏では、子どもたちがどれほどの時間を練習に費やしているのか、疑問を投げかける声が多くある。10代という、多様な経験を積むべき貴重な時期に、コンクールのための過剰な“音楽漬け”の日々となり、音楽が持つ本来の芸術的意義や価値を十分に学べているのかという懸念があるのだ。
また、作曲家たちが演奏者の技術的なやりがいを満たしつつ、コンクール向けに耳当たりのよい楽曲を次々と生み出す傾向も指摘されている。それが果たして子どもたちの成長段階に適したものであるかどうか、再考が求められている。
新たな価値観を構築するための取り組みが今こそ求められているが、私たちはいったい何をすべきなのか。


















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