国家安全保障局、内閣情報調査室には日本で最も優秀な人々、まさにベスト・アンド・ブライテストがそろっている。この組織の分析官ならば難関大学の教授としての能力を十分備えている。組織の幹部は国会議員に転出することも可能だ。40代後半〜50代の分析官だと年収は1000万円足らず、組織のトップでも1500万円くらいだ。日本で民間に転出すれば倍以上の年収が得られる。
しかし、そういうことはしない。静かな愛国心が、この人たちの働く動機になっているからだ。内閣総理大臣に自分の仕事が認められ、当該分野のプロの間で能力を認知されれば、それで満足するという人たちだ。とくにインテリジェンス機関である内閣情報調査室の人々は、総合誌や学会誌に寄稿して目立つことができない。ひたすら黒衣に徹し、国家と国民のために仕事をすることを生きがいとしているのだ。
日本のマスメディアも有識者も基本を忘れてしまった
マスメディアの報道だけを見ると、若者の官僚離れが著しいという記事をよく目にするが、官邸の優れた官僚たちの姿を知れば、難関大学の学生で「こういう生き方をしたい」と思う人が少なからず出てくると筆者は信じている。
2022年2月のロシア・ウクライナ戦争勃発後、日本のマスメディアも有識者も、物事を分析し評価するに当たっては、事実、当事者の認識、評価を分けなければならないという基本を忘れてしまったようだ。これが、ガザ紛争によって一層加速した。




















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