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長期化するガザ・イスラエル紛争、先行き不透明なアメリカ主導の「和平案」。深刻化する人道危機

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浸水したテントで座り込むガザの女性
ガザの生活環境は悪化し、人道危機が深刻化している(写真:Saher Alghorra/The New York Times)

特集「2026年大予測①政治・経済編」の他の記事を読む

アメリカのトランプ大統領に振り回され続けた世界。片や、実力未知数の高市政権に運命を託す日本。2026年はより大きな混乱に見舞われるのか。本特集では国内外の政治・マクロ経済を大胆予測する。

アメリカの仲介でイスラエルとハマスが停戦に合意したのは2025年10月のこと。11月には、国連がガザ和平案と国際安定化部隊の派遣計画を承認した。

しかしイスラエル軍は、ガザ地区を北・南・東の3方向から包囲。区域の過半を実効支配し、残るハマス支配地区に対しては断続的な攻撃を続けている。住民は残された海側の狭い地域に押し込められ、冬の雨季によって避難テントは浸水し、衛生環境が悪化している。支援物資は足りず、人道危機は長期化している。

イスラエル内政の不安定化

こうした中、26年も中東に安定が訪れる兆しは見えない。その要因の1つがイスラエル内政にある。

イスラエルでは、26年10月に総選挙が予定されている。ネタニヤフ首相の最優先課題は連立政権維持だが、状況は厳しい。大手通信社に規制上の便宜を図る見返りに好意的報道をさせたとされる贈収賄疑惑など、複数の疑惑案件で19年に起訴されているからだ。

ネタニヤフ氏は、ガザでの戦闘などを理由に何度も裁判を引き延ばしてきた。戦闘の長期化には、結審を先送りする思惑があったとの見方がある。ただ、25年に相次いだ軍事行動の結果、「さらなる大規模作戦で裁判を延期する財政的な余地は乏しい」と防衛大学校名誉教授の立山良司氏はみる。

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