アメリカの仲介でイスラエルとハマスが停戦に合意したのは2025年10月のこと。11月には、国連がガザ和平案と国際安定化部隊の派遣計画を承認した。
しかしイスラエル軍は、ガザ地区を北・南・東の3方向から包囲。区域の過半を実効支配し、残るハマス支配地区に対しては断続的な攻撃を続けている。住民は残された海側の狭い地域に押し込められ、冬の雨季によって避難テントは浸水し、衛生環境が悪化している。支援物資は足りず、人道危機は長期化している。
イスラエル内政の不安定化
こうした中、26年も中東に安定が訪れる兆しは見えない。その要因の1つがイスラエル内政にある。
イスラエルでは、26年10月に総選挙が予定されている。ネタニヤフ首相の最優先課題は連立政権維持だが、状況は厳しい。大手通信社に規制上の便宜を図る見返りに好意的報道をさせたとされる贈収賄疑惑など、複数の疑惑案件で19年に起訴されているからだ。
ネタニヤフ氏は、ガザでの戦闘などを理由に何度も裁判を引き延ばしてきた。戦闘の長期化には、結審を先送りする思惑があったとの見方がある。ただ、25年に相次いだ軍事行動の結果、「さらなる大規模作戦で裁判を延期する財政的な余地は乏しい」と防衛大学校名誉教授の立山良司氏はみる。




















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