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〈日米識者対談〉高まる地政学リスクにどう備える? 日本企業のためのサバイバルガイド

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ブランズウィック・グループ パートナー ランヒー・チェン氏と地経学研究所長 鈴木一人氏
(写真左)ランヒー・チェン(Lanhee Chen)/ブランズウィック・グループ パートナー。ブッシュ(子)政権で保健福祉省高官、オバマ政権で社会保障諮問委員会委員を歴任。ミット・ロムニーやマルコ・ルビオが出馬した大統領選挙の政策アドバイザー。ハーバード大学で、博士号(政治学)および法務博士号(J.D.)を取得。(写真右)鈴木一人(すずき・かずと)/地経学研究所長 経済安全保障グループ・グループ長。 立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了、英サセックス大学大学院ヨーロッパ研究所博士課程修了。2020年から東京大学公共政策大学院教授。22年、国際文化会館の地経学研究所(IOG)設立に伴い所長就任(撮影:今井康一)

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アメリカのトランプ大統領に振り回され続けた世界。片や、実力未知数の高市政権に運命を託す日本。2026年はより大きな混乱に見舞われるのか。本特集では国内外の政治・マクロ経済を大胆予測する。

経済が安全保障の武器と化す中、国際秩序とビジネスを取り巻く環境は激変している。2026年の世界はどこへ向かうのか。日米の識者が語り合った。

数少ない一貫性のある政策

──大規模な関税措置を発表した4月2日の「解放の日」以来、米トランプ政権による関税政策が世界経済を翻弄し続けています。

鈴木一人 トランプ政権の関税政策は当初、アメリカ経済の自律性を重視する単独行動主義的なアプローチを取っていた。それによって、貿易赤字の削減や同盟国への圧力、アメリカへの製造業回帰を目指していた。

しかし、(債券の下落という)市場の反発や中国の巧みな対抗策に直面した結果、しだいにアメリカ経済の脆弱性を認識せざるをえなくなった。中国は大豆の輸入先をアメリカからブラジルへシフトし、アメリカはレアアースや造船での中国依存を露呈した。アメリカ経済は自律的ではないことがわかり、日本、オーストラリア、韓国といった同盟国との連携を重視する戦略へと舵を切っている。

ランヒー・チェン 関税はトランプ氏が長年こだわり続ける、数少ない一貫性のある政策だ。

トランプ政権は関税を各国との交渉の道具として用いている。実際、インドのようにまだ合意に至っていない国には高関税が維持される一方、日本やスイスのように合意の枠組みを築いた国では関税が下がり始めている。

トランプ氏には、最終目標として見据える対中経済合意の実現に向け、交渉の主導権を高めたいという思惑がある。各国との個別交渉は、そのためのレバレッジを積み上げるプロセスでもある。

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