
「イスラエルがガザ地区の反ハマス勢力に武器を供与している」
2025年6月5日、元イスラエル国防相アビグドール・リーベルマンはこのように告発し、その危険性を指摘した。
「イスラエル政府は首相の指示の下、イスラム国(IS)と関係のある犯罪者や重罪犯の集団に武器を供与している。私の知る限り、これは内閣の承認を得ていない」
「反テロ部隊」と称する部族武装勢力
反ハマス勢力の中心にいるのが、ガザ地区ラフィアフ出身のヤセル・アブ・シャバブ(32)だ。アブ・シャバブが率いる勢力は、表向きには「反テロ部隊」として活動し、国連や赤十字の援助車両の護衛に当たるなど人道的な装いを見せているが、その実態は「部族武装勢力」である。
なぜ彼は、パレスチナ人でありながら、イスラエルと手を組んだのか。その背景には、ガザにおけるハマス支配への反発、部族社会の論理、そして戦争によって拡大した権力の空白がある。
アブ・シャバブとその勢力がイスラエルと協力関係を結んだ最大の理由は、ハマスへの敵意である。彼は、ガザ地区におけるハマスの長年の統治を「腐敗と暴力による支配」と非難し、自身を「ガザの解放者」と位置づけている。
とくに2023年10月に始まったハマス・イスラエル戦争以降、ハマスは住民に対する統制を強め、援助物資の配分や戦闘員徴兵において強権的な手法を取ってきた。こうした状況は、アブ・シャバブにとって「イスラエルと手を組んででも変えるべき」と映ったのであろう。
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