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ホロコーストを体験したユダヤ民族がなぜガザを強制収容所にしようとするのか…イスラエル「軍事力信奉」の起源、国際世論の潮目は変わった

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テルアビブで8月9日に行われた、ガザでの戦争終結と人質解放を要求するデモ(写真:Bloomberg)

7月初め、イスラエルのカッツ国防相が、「人道都市建設」という名前の驚くような計画を公表した。イスラエルの攻撃によって建物の大半が崩壊し廃墟と化したガザ南部の都市ラファに、60万人のパレスチナ避難民を強制的に収容する地区を作るというのだ。

ハマスの工作員ではないことを確認したうえで収容し、一度この地区に入ると出ていくことを許さない。将来的にはガザ地区の200万人のパレスチナ人全員を収容することを想定している。

ガザ地区をすべて支配、占領するためパレスチナ市民全員を強制的に狭い地区に閉じ込めてしまうとんでもない構想だ。イスラエルのオルメルト元首相でさえ「強制収容所でしかない」と批判するが、関係閣僚会議でネタニヤフ首相は費用がかかりすぎるなどと注文をつけただけだという。

ナチスによるホロコーストの被害者であるユダヤ人の国イスラエルが、強制収容や民族浄化のようなことをするはずがないと考えたいが、この計画が停止されたという報道はまだないようだ。

ガザへの徹底した攻撃、食料搬入停止で飢餓に

2023年10月のハマスによるイスラエル市民に対する残虐な襲撃に端を発したイスラエル軍のガザ地区に対する攻撃は、凄惨を極めている。破壊された建物は75%、地域によっては90%以上に及び、第2次世界大戦での英米軍によるドイツの都市、ドレスデンの無差別、絨毯爆撃を上回る。

パレスチナ市民の死者は6万人、負傷者は14万人を超えた。人口約220万人の10人に1人が死傷者ということになる。恐ろしい数字だ。

軍事攻撃だけではない。イスラエルは3月から5月にかけての78日間、パレスチナ避難民に対する国連の組織の食料支援などの搬入を停止した。その結果、ガザは餓死者が出るほどの飢餓状態に陥った。

さらに8月初め、イスラエル政府は多くの市民が避難しているガザ市などを攻撃することを閣議決定した。それに合わせて避難民を強制的に移動させる。これでガザ全域の完全支配が実現するというのである。

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