「パレスチナ問題」こんなにも複雑になったなぜ 人気世界史講師が今さら聞けない常識を解説
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、収束が見えないガザ情勢、ポピュリズムの台頭、忘れられた危機を生きる難民……テレビや新聞、インターネットのニュースでよく見聞きする、緊迫した世界情勢。「論点」をちゃんと答えられますか?
「受験世界史に荒巻あり!」といわれる東進世界史科トップオブトップ講師で『紛争から読む世界史~あの国の大問題を日本人は知らない』が、キナ臭さが漂う今だからこそ学ぶべき「世界の大問題」を厳選して解説。今回は「日本人が知らないパレスチナ・イスラエル問題」。
世界で最も解決が困難な問題
常に中東問題の中心であり続けるパレスチナ問題は、「世界で最も解決が困難な問題(The world's most intractable conflict)」と呼ばれており、背景説明だけで本1冊が書けるほどです。なるべく簡潔に説明をしていきます。
まずパレスチナ地方の場所をおさえてください。ここにはアラビア語を話すイスラーム教徒が多く住んでいます。彼らがパレスチナ人です。この地にヨーロッパからユダヤ教徒(ユダヤ人)が入植してくる過程を見ていきます。
19世紀末はヨーロッパの各地で反ユダヤ主義(アンチ=セミティズム)が流行した時代でした。ヨーロッパの各国でナショナリズムが高まりを見せ、国民統合のためにユダヤ人を国内の敵と見る風潮が広がっていたのです。
ユダヤ人というだけでスパイ容疑を受け、のちに冤罪とされたドレフュス事件がフランスで起きたのもこの時代です。ユダヤ人はこの迫害から逃れるためにユダヤ人国家の建設を考えます。これがシオニズム運動です。
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