「パワハラ容認世代」と「残業キャンセル界隈の部下」に挟まれる氷河期世代48歳課長の"地獄"
「もう、どうしたらいいんでしょうか……」
ある食品メーカーの課長(48歳)は、深いため息をついた。氷河期世代の彼は、就職難を乗り越えてようやく正社員の座を掴み、20年以上この会社で働いてきた。念願の課長に昇進したのは3年前。しかし、中間管理職になってからというもの、毎日が地獄のようだという。
上からはパワハラまがいの圧力。下からは「残業キャンセル」。板挟みの苦悩は、想像を絶するものがあった。そこで今回は、現代の中間管理職が直面する構造的な問題について解説する。同じ悩みを抱えるマネジャーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
昭和を引きずる上司からの圧力
この課長の直属の上司は、55歳の部長だ。バブル後に入社した典型的な昭和世代である。
部長は、課長のことを「同世代」だと思っている。7歳しか違わないのだから、同じ価値観を共有しているはずだ、と。しかし、氷河期世代とバブル世代では、仕事に対する原体験がまったく異なる。
部長の口癖はこうだ。
「俺も昔は胃に穴を開けたもんだ」
「子どもが病気だろうが、定時で帰ったことなんてない」
「月曜日に有給を取るヤツの気が知れん」
言いたい放題である。本人は武勇伝のつもりだろうが、今の時代なら立派なパワハラだ。ほかの課長たちもかなり萎縮している。
しかし、最も深刻な問題は別にある。
部長は、自分の責任範囲の仕事まで課長に押し付けてくるのだ。
「この件、君のほうでうまくやっておいてくれ」
「来期の事業計画、たたき台を作っておいて」
「あの取引先とのトラブル、君が窓口になって解決してくれ」
どれも本来は部長マターの案件である。課長は何度か「それは部長の責任範囲ではないでしょうか」と進言した。しかし、部長は聞く耳を持たない。
「細かいことを言うな。俺たちは同じチームだろう」
そう言って、責任だけを押し付けてくる。



















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