「5分前集合、それって勤務時間ですよね?」 若手に言われた上司の苦悩 「最近の若者は」とため息をつきたくなるが…

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向かい合わせに座っているスーツを着た女性と会話するミドルの女性
なぜ上司は苦悩するのか、若手は何を求めているのか(写真:アン・デオール/PIXTA)

なぜ、こんなことまで説明しなければならないのか……。

「客先に5分前集合って、勤務時間ですよね?」と真顔で聞かれた瞬間、ある貿易会社の課長は、言葉を失った。いつものように「5分前には現地に着いておこう」と声をかけただけだったのに、まさかこんな質問をされるとは。

「たしかに、勤務時間だ。だから、時間外労働になるね」

昭和の時代なら「5分前行動は常識だろう」で済んだ。しかし令和の時代、若手はルールの透明性を求めている。「常識でしょ」と言われても、彼らにとっては「見えないルール」にすぎないのだ。

そこで今回は「5分前集合」問題を通じて、なぜ上司は苦悩するのか、若手は何を求めているのかについて解説する。部下を持つすべてのマネジャー、経営者はぜひ最後まで読んでもらいたい。

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「5分前集合」は努力義務なのか、業務時間なのか?

この課長が言葉を失った背景には、ある出来事があった。

隣の部署の課長が展示会イベントの当日、同じように「5分前集合」を指示した。ギリギリに到着した部下を叱責したところ、「パワハラを受けた」と別の人へ相談したのである。課長は「決めた集合時間に遅れるなんて非常識だ」と思って叱っただけだったが、部下は冷静だった。

「そもそも5分前って、勤務時間外ですよね? そんな義務、就業規則に書かれていますか?」

こう言い返され、その場が凍りついたという。

この話を聞いて以来、この課長は「5分前」という言葉を恐れるようになった。使わないでいようと心に誓っていたが、ついついクセで、

「5分前集合な!」

と声をかけてしまった。

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