「5分前集合、それって勤務時間ですよね?」 若手に言われた上司の苦悩 「最近の若者は」とため息をつきたくなるが…
この問題は、多くの上司を悩ませるだろう。単なるマナー論争ではなく、法律の話だからだ。
もし「5分前集合」が会社の指揮命令下で行われるのであれば、それは労働基準法上「労働時間」にあたる。給与が支払われるべき時間であり、「常識だから」「マナーだから」という理由で強制できるものではない。
いっぽう、単なる努力義務で「特に何もさせない」のであれば、法的拘束力はない。まとめると、こうだ。
・会社の命令なのか?
・マナーとしての推奨なのか?
この線引きをしっかりとやることが大切なのだ。線引きが曖昧なままでは、どんな指示も上司の独断になる。若手が不安を覚えるのは、まさにこの曖昧さなのだ。
叱責した瞬間、パワハラリスクが発生する
隣の部署の課長が「パワハラです」と言われた理由についても、触れておきたい。
就業規則などに「5分前集合」が業務命令として記載されていない場合、従わなかったとしても法的には問題にならない。それを頭ごなしに叱れば、どうなるか? つまりそれは「業務の適正な範囲」を超えた指導になるという。
パワハラの定義も整理しておこう。
・業務上必要な範囲を超えて
・精神的・身体的苦痛を与える行為
単なるマナー違反に対して感情的に叱りつければ、その瞬間に境界線を踏み越える。とりわけ勤務時間外(5分前集合)について厳しく攻めれば、リスクは一気に高まるだろう。
もちろん、上司に悪気があったわけではない。ただ、時代が変わり、働く人たちの感覚は変わりつつある(若者だけではない)。ルールの明文化が遅れているだけなのだ。
「最近の若者は……」とため息をつきたくなる上司もいるだろう。その気持ちは、わかる。私はバブル時代を生きた世代だ。「企業戦士」「24時間働けますか?」という表現が、普通に使われた時代に仕事を覚えた。だから、戸惑うのもわかる。
だが、ネガティブに捉えていても、前へ進めない。それより、この機会に自分自身の思考をメンテナンスするのだ。部下も、反抗心で言っているわけではないのだ。
「曖昧な表現はやめてほしい」
と訴えているだけなのだ。彼ら彼女らはルールの透明性を求めているだけ。やる気がないわけではない。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら