「5分前集合、それって勤務時間ですよね?」 若手に言われた上司の苦悩 「最近の若者は」とため息をつきたくなるが…

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

たとえば、こう置き換えてみよう。

上司から「この資料、いい感じで頼む」と言われたらどうか。「いい感じ」とは何なのか。どんな仕上がりを期待しているのか。わからないまま作業を進め、あとから「全然違う」と叱られたら、納得できないのだ(昭和世代の人はガマンしただろうが)。

若手が求めているのは、まさにこれと同じだ。「5分前集合」が何のために必要で、どこまでが義務なのか。それを明確にしてほしいだけなのだ。

「境界線が曖昧」な組織は、人の心も離れていく

今回のようなトラブルは、実は「5分前集合」に限らない。

・イベント前日の無償準備

・移動時間の扱い

・休憩時間の延長や短縮

・「早めに出社してほしい」という暗黙の圧力

どれも境界線が曖昧だから揉める。

「そんなこと、いちいち説明しないといけないのか? だいたいニュアンスでわかるだろ」

という言い分は、もう通じないのだから。

境界線が曖昧な職場は、若手にとって「危険な環境」に見えるのだ。実際、離職率が高い会社ほど、ルールの整備が遅れている。たとえルールがあっても形骸化しているケースも多い。

反対に、境界線が明確な会社は強い。

・何が業務で

・何が努力義務で

・何がマナーで

・何が任意なのか

これがはっきりしていれば、部下も安心できる。部下だけではない。上司も同じように安心できるのだ。

「期首に決めたコミットメント、やり切っていないので評価を落とすよ」

このように、事前に「境界線」を作っていたらハッキリと言える。どういうシチュエーションでは注意していいのか、どんなときに褒めていいのかも「線引き」しておけば、迷うことはなくなる。上司も気持ちがラクになるはずだ。

では、5分前集合はどう扱うべきか。

この貿易会社の課長は、今回の件をきっかけに、メンバーと対話を繰り返し、以下のように整理し直した。

(1)業務上の必要性を説明できるようにする

(2)必要なら「正式ルール」にする

(3)叱責ではなく、建設的な指導をする

メンバーと合意がとれたので、このような取り決めを運用することにした。認識のズレがなくなり、上司の苦悩も、若手の不安も、両方とも解消されていった。

このように、明確なラインを引き、説明し、必要ならルール化する。とても面倒な作業だと思うかもしれない。しかし、上司からすると、自分の身を守るための手立てとも言えるのだ。境界線をハッキリさせ、認識のズレがないように対話できる組織が、これからの新しいスタンダードになるのではないか。

部下を持つすべてのマネジャーは、ぜひ参考にしてもらいたい。

【この記事の著者・横山信弘氏への仕事のお悩みを募集します!】本連載では、読者の皆様からのご相談を受け付けています。「困った部下・上司・同僚への対応」や「仕事で壁にぶつかったときの対処法」など、さまざまなお悩みをお寄せください。 ご協力いただける方は、こちらのフォームからお送りください。
横山 信弘 アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

よこやま・のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。近著に『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事