「パワハラ容認世代」と「残業キャンセル界隈の部下」に挟まれる氷河期世代48歳課長の"地獄"

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課長が最も問題視しているのは、部下たちの「責任感の欠如」だ。

彼らはよくこう言う。

「給料が安いからモチベーションが上がらない」

「やる気が出ないんです」

しかし、課長はこう思う。モチベーションや意欲の問題ではない。責任感の問題だ。

組織のメンバーである以上、任された仕事は完遂する責任がある。給料をもらっている以上、その給料分だけ働く責任がある。それは最低限の話だ。モチベーションなど関係がない。

もちろん、長時間労働を強いるつもりはない。働き方改革の趣旨は理解している。定時で帰ることは悪いことではない。

しかし、それは「定時までに仕事を終わらせる」ことが前提だ。仕事を途中で放り出して「残業キャンセル」などありえない。

先輩や上司に相談する「権限」は与えられる。なのに相談しない。そして進捗状況を報告することは「義務」だ。なのにその義務を果たさずに、

「定時になったから帰ります」

と言う。これでは無責任すぎる。三面等価の法則で言えば、「責任」も「義務」も放棄している状態だ。

中間管理職はどうすればいいのか?

この課長のように、上からも下からも板挟みになっている中間管理職は多い。では、どうすればいいのか。

まず、上に対しては「三面等価の法則」を盾にして交渉することだ。

「この仕事を引き受けるなら、決定権限をください」

「権限がないなら、責任は負えません」

ハッキリ言うしかない。もちろん、言い方には気をつける必要がある。しかし、責任だけ押し付けられる構造を放置してはいけない。

次に、下に対しては「仕事に対する姿勢」を繰り返し伝えることだ。

「仕事を任された以上は、その仕事をやり切る責任がある」

「その仕事がやり切れるかどうか、進捗状況を報告する義務がある」

一度言っただけで、人の価値観は変わらない。何度も啓蒙することで、部下の考えは少しずつ変わっていく。もしも、どうにもならない場合は労務の問題として、しかるべき部署に相談すべきだ。

三面等価の法則が機能していない組織では、中間管理職が疲弊するのは当然である。上も下も、この基本原則を理解し、実践する必要がある。

責任を負わせるなら、権限を渡す。権限をもらったら、報告の義務を果たす。このシンプルな原則が守られれば、中間管理職の苦悩は大きく軽減されるはずだ。

組織全体で「三面等価の法則」を共有すること。それが、中間管理職を救う第一歩だと私は思う。

【この記事の著者・横山信弘氏への仕事のお悩みを募集します!】本連載では、読者の皆様からのご相談を受け付けています。「困った部下・上司・同僚への対応」や「仕事で壁にぶつかったときの対処法」など、さまざまなお悩みをお寄せください。 ご協力いただける方は、こちらのフォームからお送りください。
横山 信弘 アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長

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よこやま・のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。近著に『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』。

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