専門がないままだらだらと…入社3年「静かな退職」を選んだ彼が陥った「-(マイナス)」型人材のワナ AI時代は「π型」「H型」人材を目指せ

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静かな退職
横棒だけのマイナス型は、AIに完全に居場所を奪われる。今回は、「静かな退職」がAI時代にいかに危険な選択であるかを解説する(写真:IYO/PIXTA)

「私、必要最低限の仕事しかしませんので」

あるIT企業の課長(48歳)が、入社3年目の部下からそう宣言されたという。驚いて理由を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「アメリカではコーヒーバッジングが一定の支持を得ています。ワークライフバランスを軽視する会社に未来はありません。多様な働き方を認めるべきです」

「コーヒーバッジング」とは、形だけの顔出し出社を示す言葉だ。会社の定めた出社日数を守るためだけにオフィスへ赴き、同僚とコーヒーを一杯飲むほどの短時間だけ滞在したら、さっと帰り残りの仕事は自宅でこなす働き方だ。

課長は言葉を失った。やたらと世間の流れに詳しく、上司を論破しようとする。しかし肝心の専門スキルはまだ不十分。いわゆる「静かな退職」を実践しているつもりらしい。そこで今回は、この「静かな退職」がAI時代にいかに危険な選択であるかを解説する。自分のキャリアの形を真剣に考えたい人は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

まず知っておくべき「I型」と「T型」

人材のタイプを記号で表現する考え方がある。まず基本となる2つの型を押さえておこう。

「I型人材」は、特定分野の純粋なスペシャリストである。縦に深く掘り下げた専門性を持つ。たとえば、20年間ひたすら金型設計に携わってきた技術者。10年以上法人営業一筋でやってきた営業パーソン。彼らは自分の領域において、誰にも負けない知見と経験を持っている。

AI時代において、教科書的な知識だけのI型は代替されやすい。しかしAIには到達できない暗黙知や、長年の経験に裏打ちされた判断力を持つI型は、希少価値がさらに高まるだろう。

「この案件は表面上は問題なさそうだが、あの社長には通らない」
「昨年までは、こういったテーマの展示会であれば集客できたが、今年からそうはいかない」

このような直感的な判断は、「文脈(コンテキスト)」を理解できなければ難しい。業界や組織に関する背景情報、関わる人たちの性格や価値観なども頭に入れておかないと、できない。これはAIにとって極めて難しい。

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