日産、リストラ下でも消えぬエンジニアの"やっちゃえ"文化。年3000km走行可の「伸びる車載ソーラー」開発、軽EV「サクラ」を充電フリーに
「他のやらぬことを、やる」
日産自動車の創業者が語った言葉であり、同社のエンジニアに長年刻まれてきたDNAだ。
現在、日産が置かれている環境は厳しい。業績の急悪化を受けて、経営再建計画「Re:Nissan」では、初の量産型EV(電気自動車)「リーフ」を生産した神奈川県追浜のマザー工場閉鎖を決めたほか、世界2万人の人員削減計画が進行している。うち3400人が研究開発部門での削減対象(契約スタッフ中心)とされるなど、エンジニアもその例外ではない。
たびたびの経営危機とリストラに見舞われる中、「自由な開発文化や、優秀なエンジニアが失われようとしている」と嘆く日産OBもいる。
だが、日産の現場にはまだ新たな技術・商品開発に情熱をかけるエンジニアが残っている。電動スライド式の車載ソーラーシステム「Ao-Solar Extender(あおぞらエクステンダー)」を開発する先行車両開発部の井上潤一(41歳)もその1人だ。
EV充電の手間をなくす
神奈川県厚木市の最寄り駅から車で16分。閑静な森の中に、「日産先進技術開発センター(NATC)」の建物が見えてくる。「世に出るのは10年先」とも言われる次世代技術を開発する、日産でもっとも機密性の高い研究開発拠点だ。いくつもの厳重なセキュリティチェックを抜けた先のフロアで、あおぞらエクステンダーは開発されている。
日産の軽EV「サクラ」の天井部分に後付けできるソーラーパネルで、その最大の特徴は電動でスムーズに伸び縮みする構造にある。走行時は固定パネルのみで約1.5mの長さだが、駐車時には格納されたもう1つの可動パネルが自動で展開され、2.6mほどに伸びる。
井上が目指すのは、「EV充電から解放された未来」だ。ソーラーパネルで充電した電力を駆動用バッテリーに供給し、充電の手間なしに日々EVを走行させる。太陽光で何度でも発電できる利点を活かし、災害時の緊急電源やエアコンの効いた避難所としても使える。



















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